空白の叫び 下 (文春文庫 ぬ 1-6)

著者 :
  • 文藝春秋 (2010年6月10日発売)
3.87
  • (74)
  • (169)
  • (87)
  • (16)
  • (0)
本棚登録 : 1180
感想 : 107
5

ミステリーを通して少年法の在り方に一石を投じる作品。今まで、社会に問題提起したいのなら、ミステリーというエンタメ要素を加えたら途端に軽薄な色が濃くなってしまって、問題提起そのものが不謹慎になってしまうと考えていた。しかし、この作品は、ミステリー要素はあるのだが、それは読者を物語の中に誘致し、ページをめくらせ、そして少年法に対する認知と興味、さらに言えば、思い入れを強めるためなのだと感じた。だからこそ、少年法に対する認識も変わるし、社会に投石できる作品。大概は、トリックありきの付け足し問題提起を、さも社会的価値のある作品です!と仰々しく売り出す小説があって、鼻白んでいたが、これは、それらとは完全に一線を画している作品でした。さすが、貫井徳郎。師匠と呼びたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年4月8日
読了日 : 2017年4月8日
本棚登録日 : 2017年4月8日

みんなの感想をみる

コメント 1件

shugoshugoさんのコメント
2017/04/10

ミレニアムも読めばいいよ。

ツイートする