トルストイと同じくらい人間愛に溢れているなあと感じた。初恋の甘くも酸っぱい、盲目的で情熱的な心の動きと、思春期のバカげた妄想のバランスが絶妙であった。読みながら恥ずかしくも懐かしくもあった。父親に対して抱く畏怖は、その不貞を知ってすらなお揺るがない。そこら辺が、日本人としては理解しがたい感覚であった。ジナイーダの自我の揺らめき、自己実現と自己中心的な自己愛のせめぎ合いも、こちらを作品に引き込んでいく格好の題材だった。ツルゲーネフの底なき人間への好奇心が垣間見える。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2016年9月30日
- 読了日 : 2016年9月29日
- 本棚登録日 : 2016年9月29日
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