鳥類学は、あなたのお役に立てますか?

著者 :
  • 新潮社 (2021年3月17日発売)
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本棚登録 : 341
感想 : 31
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この本は川上和人さんが鳥類学者としてどのようなテーマを選び、どのように考え活動しているのかが書かれています。
川上和人さんのことを知らず、これまでの著作を読まずに本書を読んでしまった人には少し退屈かもしれません。
川上ファンの私ですら、3章くらいまで「この本で何を伝えたいのだろう?」と思いました。

噴火により地球上で希少な生態観測の場所となった西ノ島でしたが、再噴火で調査計画の見直しとなってしまったのは残念です。
溶岩と火山灰で島全体が覆われ生物が死滅してしまったのが2020年8月ですが、2021年7月に西ノ島の再調査が始まりました。
植物は見つかりませんでしたが、何と、海鳥の繁殖が確認されたそうです。
9月にもう一度調査に向かうらしいので、調査報告が楽しみです。

「オガサワラカワラヒワ」、地味ですが可愛らしい姿の鳥です。
個体数が激減しているこの鳥を確実に絶滅させる方法を考えることで、絶滅に至る要因を排除し何とか保護しようとしています。

本書の目的はこれでした。絶滅危惧種「オガサワラカワラヒワ」の知名度アップと保全。

ならば、啓蒙活動に協力しなくては!
よろしかったら、以下のウェブサイトを覗いてみてください。
https://ogasawara-kawarahiwa.jimdofree.com/

4章から6章は面白かったです。
日本鳥類目録の編集(2012年の目録第7版)の話では、三浦しをんさんの「舟を編む」を思い出しました。
DNA解析により分類が大きく見直されたり、デジカメの進化で撮影記録が飛躍的に増加したりで大改訂が必要となったようです。
ほぼ10年で改訂されるらしく、2022年には第8版が出版されるらしいです。
「日本鳥類目録」を見てみたくなったのですが、図書館に蔵書がないので諦めました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: *川上和人
感想投稿日 : 2021年7月30日
読了日 : 2021年7月30日
本棚登録日 : 2021年3月29日

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