犬がいた季節

著者 :
  • 双葉社 (2020年10月14日発売)
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去年1年間ずーっと読みたいと思っていた作品です。
別れと出会いの季節でもある、卒業・入学シーズンの今、タイミングよく読むことができました。

「あー、よかった。」こういう気持ちがじ~んとする物語は好きです。

時代背景は、最近読んだ「鎌倉うずまき案内所」「平成音楽史」と同じ、昭和から平成、そして令和。

自分の学生時代はこの物語よりもずっと昔ですが、高校時代だけでなく小学校~大学の頃の思い出がよみがえりました。
今でもすぐに頭に浮かんできた人は、きっと好きだったに違いありません。

平成時代は社会人だったので、この物語に登場する懐かしい出来事は学生時代とは結び付きません。
平成初期に高校生だった人が読むと懐かしさが倍増するでしょうね。

このころのF1グランプリは欠かさず見ていたので懐かしかった。
私のお気に入りは、ナイジェル・マンセルでしたけど、盛り上がってましたね。
F1大好きな後輩と、マクラーレン・ホンダの紅白マシンの展示を観に行ったことも思い出しました。

クリスマスの時期に流れていたJR東海のCM、山下達郎の例のメロディの中ホームを走る牧瀬里穂。
主人公のユウカは、牧瀬里穂に似ているという設定はずるいですよね。
爽やかで純粋なイメージが一瞬にして出来上がっちゃいました。

昭和のメロディだなと感じた「夜空ノムコウ」が流行ったのは1998年だったのか。とか、
1999年は、コンピュータの2000年問題対策の取りまとめ役で忙しかったことなどが脳裏に浮かびました。

主人公のユウカは、学生の頃好きだった人と30年後に学校の記念行事で再会します。
実は両思いだったが、お互いに気持ちをうまく伝えきれないまま卒業してしまった。
相手は世界的にも有名な人になっている。
自身は平凡に年を重ねただけと思うと、恥ずかしさで引いてしまう。
でも、気持ちは30年間(お互いに)変わってはいなかった。

昭和の最後で出会い、平成は離れ離れで、令和の最初に再会する。
ユウカの令和の年表に書き加えられる未来が想像できるラストに感動です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説 - 日本
感想投稿日 : 2022年4月14日
読了日 : 2022年4月14日
本棚登録日 : 2021年4月3日

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