名著講義

著者 :
  • 文藝春秋 (2009年12月9日発売)
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本棚登録 : 214
感想 : 28
5

非常に読み応えのある本で、読み終えるのが惜しくてゆっくりゆっくり時間をかけて読んだ。
藤原先生、ありがとうございます。
自分のルーツについて再認識させられた、幸せな時間でした。

これは、お茶の水女子大での、著者による読書ゼミをまとめたもの。
このゼミの受講条件は、ひとつには毎週一冊の文庫を読む根性があること。
もうひとつは、毎週一冊の文庫を買う財力があること。
定員は20名。
読後レポートを提出し、授業中はディスカッションをする。
読みどころはその師弟問答。
もしも自分がその場にいたらどう答えただろうと、しばしば考えさせられる。
時に教師の側に立ったり学生の立場になったり。笑ったり質問したり反論してみたり。

課題となった書物は以下11冊。
①新渡戸稲造 「武士道」
②内村鑑三 「余は如何にして基督信徒となりしか」
③福沢諭吉 「学問のすゝめ」
④日本戦没学生記念会編 「きけわだつみのこえ」
⑤渡辺京二 「逝きし世の面影」
⑥山川菊栄 「武家の女性」
⑦内村鑑三 「代表的日本人」
⑧無着成恭 「山びこ学校」
⑨宮本常一 「忘れられた日本人」
⑩キャサリン・サンソム「東京に暮らす」
⑪福沢諭吉 「福翁自伝」

⑤⑥⑦⑩は未読だが、現代においても普遍性のある作品ばかり。
今の価値観でだけ見ると「こんな古い本は役にも立たないし面白くもない」となりそうだが、それはあまりに浅薄というもの。書かれた時代背景を知ることが何より大切で、それは良書を通じて正しい歴史を学ぶことにもなる。
更に、このゼミを知ると既読のものさえも、何度でも読み返したくなってくる。
先達たちの心意気とその強い矜持にふれ、胸がざわつかない人がいるだろうか。
何をするというわけでもない。
ただ、元気を出してまっすぐ穏やかに生きようと、心からそう思う。
著者の後書きまで含めて、全ての方におすすめ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本にまつわる本
感想投稿日 : 2019年4月20日
読了日 : 2019年4月20日
本棚登録日 : 2019年9月24日

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