日本の神話 第4巻

著者 :
  • あかね書房 (1995年10月15日発売)
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本棚登録 : 166
感想 : 25
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仕事上知りえた他の国の方たちに、よくこんな質問をされたのを思い出す。
日本の誕生日はいつですか?日本は何歳ですか?
ちゃんと答えられて良かったと、そのたびに胸を撫で下ろしていたものだ。

2千年以上も前の日本の神話だがこれがなんとも面白い。
全6巻あるうちの、第4巻が「いなばのしろうさぎ」。
何故この卷を選んだかと言うと、今ちょうど河川敷に蒲の葉が盛んに出始めているから。
知らずに見ていると、まるでアヤメか菖蒲の葉かと思ってしまう。
日本古来からあるこの植物も、秋に穂状になったフランクフルトソーセージそっくりの姿を見ないと誰も分からないほどに、地味な存在だ。
花から出る黄色い花粉の上に寝て、うさぎさんがその傷を治したと言われているが、これが日本の医薬の始まりとして着目されているらしい。

何しろ神話なので、突っ込みどころは多い。
しろうさぎなのに、何故挿絵では白くないのか。
(うさぎも、物語の始めにしか登場しない。)
うさぎが沖ノ島から数えながら渡ったのは、ワニなのかサメなのか。
その「沖ノ島」の表記は、「隠岐の島」ではないのか。
雄大で美しい赤羽末吉さんの絵を見て満足してしまいそうだが、後書きまで読むとそれらの謎が解ける。
丹念に調べぬいてこの一冊を書かれたことが分かると、絵本の域を超えた貴重な資料であることに気づく。

日本初のいじめられっ子だった大国主命は、5巻でどんな運命になっていくのか。
お話し会ではそのあらすじだけ触れてみるつもり。
だって、子供たちには希望をもってもらいたいものね。
約12分。学童以上。
後世に語り継ぎたい、想像力を刺激される素晴らしい一冊。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 絵本・春
感想投稿日 : 2013年6月22日
読了日 : 2013年6月22日
本棚登録日 : 2013年6月22日

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