仕事上知りえた他の国の方たちに、よくこんな質問をされたのを思い出す。
日本の誕生日はいつですか?日本は何歳ですか?
ちゃんと答えられて良かったと、そのたびに胸を撫で下ろしていたものだ。
2千年以上も前の日本の神話だがこれがなんとも面白い。
全6巻あるうちの、第4巻が「いなばのしろうさぎ」。
何故この卷を選んだかと言うと、今ちょうど河川敷に蒲の葉が盛んに出始めているから。
知らずに見ていると、まるでアヤメか菖蒲の葉かと思ってしまう。
日本古来からあるこの植物も、秋に穂状になったフランクフルトソーセージそっくりの姿を見ないと誰も分からないほどに、地味な存在だ。
花から出る黄色い花粉の上に寝て、うさぎさんがその傷を治したと言われているが、これが日本の医薬の始まりとして着目されているらしい。
何しろ神話なので、突っ込みどころは多い。
しろうさぎなのに、何故挿絵では白くないのか。
(うさぎも、物語の始めにしか登場しない。)
うさぎが沖ノ島から数えながら渡ったのは、ワニなのかサメなのか。
その「沖ノ島」の表記は、「隠岐の島」ではないのか。
雄大で美しい赤羽末吉さんの絵を見て満足してしまいそうだが、後書きまで読むとそれらの謎が解ける。
丹念に調べぬいてこの一冊を書かれたことが分かると、絵本の域を超えた貴重な資料であることに気づく。
日本初のいじめられっ子だった大国主命は、5巻でどんな運命になっていくのか。
お話し会ではそのあらすじだけ触れてみるつもり。
だって、子供たちには希望をもってもらいたいものね。
約12分。学童以上。
後世に語り継ぎたい、想像力を刺激される素晴らしい一冊。
- 感想投稿日 : 2013年6月22日
- 読了日 : 2013年6月22日
- 本棚登録日 : 2013年6月22日
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