昨年末に読んだのが「とまどう放課後編」で、こちらは一つ前の「ざわめく教室編」。
大切な人へ本をすすめる4つのストーリーが入っている。
それぞれが素敵なブックレビューになっていて、本が持つ力や可能性を感じさせる。
以下、タイトル、著者名、登場する本の順。
①「クロエ・ドール」戸森しるこ
「りかさん(梨木香歩)」「ありがとうの本(フランソワーズ・セニョーボ)」
②「パワー・ストーン」おおぎやなぎちか
「いい感じの石ころを拾いに(宮田珠己)」
③「ダレカを探す冒険」赤羽じゅんこ
「二分間の冒険(岡田淳)」「ぼくらの七日間戦争(宗田理)」
④「図書館と昆虫の森」池田ゆみる
「レイチェル・カーソン(ジンジャー・ワズワース)」
お勧め本の中にブク友さんたちに人気の本もあり、親近感を持って下さるかと。
主人公はみな5年生で、舞台はまさに教室と家庭。外へ踏み出しても狭い半径だ。
本好きな子もいれば特に読書好きでもない子もいる。
ふとしたきっかけから本の世界に入り、次のひとへと託していく話が多い。
押しつけがましさがなく、とても爽やかで自然な手渡し方だ。
「友だちになろう」「勇気を出していこう」「本の世界へようこそ」
「こんなメッセージの本がある」等々、真正面から受け取る姿勢がまぶしい。
クラスの気になる女の子へ手紙を添えて。
大好きな叔母さんからクラスで苛めに遭っていた姪へ。
図書委員の紹介文用としての読書で。
クラスメイトからちょっぴり背伸びして「生命の奇跡」を学ぶ本を。
まっすぐな思い。まっすぐな視線。
私たち大人には、こんな読み方も手渡し方ももう出来ないかもしれない。
③で岡田淳さんの本を読んだのは、読書が苦手な子だ。
母親が子どもの頃に読んだという本を読んだことから、「本って伝言ゲームみたい」と気が付く場面が本書の中で最高に煌めくところ。
「本を読んで思うことはそれぞれ違っても、同じ本を読んだっていう連帯感はきっとつながっていく。それっていい」
ここがいいなぁ。本当にその通りだもの。
きっと皆さんもブクログで実感されているかと。
読書による繋がりの不思議さ。運命を変えていく力さえ持つ本。
心をひきつける本との出会いが、すべての子に訪れてくれますように。
同年齢のお子たちがいらっしゃる方(もちろんいなくてもOK)「放課後編」とともにお勧め。私はこちらの方が好みかな。
ほのぼのと気持ちが温かくなる。
難しい顔で読むばかりが読書じゃないのよ。
- 感想投稿日 : 2021年1月25日
- 読了日 : 2021年1月25日
- 本棚登録日 : 2021年1月25日
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