猫語の教科書 (ちくま文庫)

  • 筑摩書房 (1998年12月3日発売)
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本棚登録 : 2896
感想 : 333
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タイトルだけ見ると、飼い主さんのための本だと思うでしょう?
ところがこれは、大人猫が子猫のために書いた本なのです。
何しろ、我が家の子猫も読んだくらいですから。。(嘘ですよ)

先ず前書きからして意表をついています。
ある日著者ポール・ギャリコが、大手出版社の編集者である友人から、暗号を並べたかのような不思議な原稿を受け取ります。
話によると、友人宅に突然届けられたものらしいのです。
数ヶ月かかって解読したのがこの本で、どうやら猫がタイプライターで打ったものだというのです。そしてその内容はと言うと…

驚くことに、猫の行動パターンは全て計算ずくで、いかにして人間に上手く取り入って「快適な暮らし」を手に入れるかに重点が置かれていると言うのです。
曰く、人間の家をのっとる方法。
どんな家が良いか、どんな表情や仕草が効果的か、何に注意をはらうべきか、
獣医さんにかかるときはどうするかなどなど。
そのためには人間というものを理解しなければ、とこの大人猫は語りますが、そこの描写が実に心に痛い。つまりこうなのです。
『人間の愛情に対しては、用心深くしていなくてはなりません。
 なぜなら時として、ムチで打たれるより痛い思いをさせられることがあるからです。』

一度飼って(この表現は好きではないけど、便宜上使います)おきながら、こちらの都合だけで突然見捨てたりする人たちが、後を絶たないというのが現実です。捨てた経験などない私でも胸が痛む箇所があちこちにあり、苦労してこれを書いた猫の努力は、無駄ではなかったと思いますね。。

読んでいる途中、何度も我が家の猫たちを観察しては、君たちはこんなことを考えていたの?その椅子は私が譲ったんだよね、君たちが乗っ取ったものだったの??
まさか、よその飼い主さんと二股かけてないよね?ねぇねぇ。。
不安になったり、くすくす笑ったり、悲しくなってきたり、と大変忙しい思いをさせられました。
皆さんもきっと、思い当たるエピソードがいっぱいありますよ。
ページの合間に掲載されている猫の写真も、愛らしいものだらけ。
巻末の「大島弓子さん」の漫画も、深い味わいを残します。
すべての飼い主さんに、心からお薦めの一冊。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 猫もの
感想投稿日 : 2010年2月22日
読了日 : 2007年2月22日
本棚登録日 : 2007年2月22日

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コメント 13件

九月猫さんのコメント
2014/01/29

nejidonさん♪

大好きなこの本に、大好きなnejidonさんのレビューがっ!!
と、思ったら過去レビューなのですね。
タイムラインで上がってきていてラッキーです。
8minaさんにもありがとう♪(ってココで言っても伝わらないか;)

>我が家の子猫も読んだくらいですから。。
おおおーーっ!すごい!!
さすがnejidonさんちのにゃんだぁ♪と喜んだのに、すかさず
>(嘘ですよ)
で、盛大にずっこけながら大笑いしてしまいました。

さすがといえば、「レビュー投稿日・読了日・本棚登録日」がすべて
「ネコの日」なのが、さすが!ですね☆
わたしも今年の猫の日に再読してみようかな。

nejidonさんのコメント
2014/01/29

九月猫さん、こんにちは♪
コメントありがとうございます!
わぁお!私のレビューを好きと言ってくださってありがとうございます!
テレテレでございます、もう。じゃ、「両思い」ってことで(笑)
8minaさんが同じ本を読まれて、私があちらにコメントしたのがきっかけです。
しかし、お気に入りをつけると古いレビューでもタイムラインに上がるんですね。
タイムラインそのものをあまり気にしたことがなかったので、私もびっくりです。

これは、ブログに掲載した記事をそのままうつしたのです。
長くて、「です・ます体」の記事は全部そうです。
日付もそのまま持ってきました。
気が付いてくださって、もう~めっちゃ嬉し!!!
確かこの時は「222222」のキリ番も設定したのですよ。
ええ、盛り上がりましたねぇ。

結構厚めの本ですが、面白いのでどんどん読めてしまいますよ。
九月猫さんもぜひぜひどうぞ。

九月猫さんのコメント
2014/01/30

nejidonさん、こんばんは♪

「両思い」!!うれしいです(笑)

そういえばnejidonさん、ブログなさってるんですよね。
勝手になんとなくにゃんブログだと思っていたのですが、本のブログなのですか?

文末形式……ワタシ混ぜ混ぜになってしまうんですよね。
あとやたら体言止めが多くなっちゃう(^^;)

>九月猫さんもぜひぜひどうぞ。
はいっ、さっそく本棚から引っ張りだしてきましたよ!
今年の「猫の日」目指して再読しようと思っています♪

nejidonさんのコメント
2014/01/31

九月猫さん、こんばんは♪
この年になって「両思い」はずいぶん新鮮です(笑)

はい、ブログはスタート当初は「にゃんブログ」の予定だったのです。
でも、他のにゃんブログの出来の良さに圧倒されて、違う山を目指すことにしました。
なので、にゃんブログ時々庭の花ブログ、または旅ブログ
だったり読書ブログだったりもしたのです。
記事を特化できないまま、10年近く経っています。

あ、文章の末尾は、私も体言止めが多いかな。
九月猫さんもそうでしたか?ほとんど気になりませんが。
しっかり感動が伝わる、いつもとても素敵な文章ですよ♪

さ~て、今から新しい素話の練習に入ります。
上手くいくように祈ってやってくださいませ!

九月猫さんのコメント
2014/02/04

nejidonさん、こんばんは♪

おおーっ、10年も続けてらっしゃるのですね>ブログ
素晴らしい!!(拍手!!)
なにかに特化するよりも、いろんな記事があるほうが、
nejidonさんの懐の深いお人柄が表れて、
読んでいる方たちも楽しいのではないかなと思います(*´∇`*)

素話・・・こちらもまた素晴らしいっ!
以前どこかにコメント差し上げたときにも書きましたが、ワタクシどうも
暗誦とか暗譜とかができないので、ほんとーーうっっっに尊敬します!!
人前で話すのもダメです。あがっちゃう(笑)

というワタシが応援してもなんのチカラにもなりそうにないですが、でもでも、
新しい素話の練習、応援してます~ヽ(´▽`)ノ

nejidonさんのコメント
2014/02/04

九月猫さん、褒めすぎですってば(笑)
単に、やめるタイミングを失ってしまっただけのブログなんです。
あ~、また同じようなこと書いてるなって思うことがたびたび。
よくもまぁ、飽きずにお付き合いいただいてるなって、読者さんには感謝でいっぱいなのです。

ええ?九月猫さんはもしやアガリ症かしら?
それは全然気にしなくてよろしいのですよ。
目的のためには、案外アガらなくなるものです。
「人前に出る」じゃなくて、「練習してきたものを、聞いてもらう」んですから。
人がどう思うかってことを気にし始めたら、何も出来ません。
好きなように思ってくれればよろしいのです(笑)

ああ~、九月猫さんとお話してると楽しいです!
先ほどそちらにもコメントしてきました。
どうぞお返事は急がずにね。
のぞきに行く楽しみというのもありますので(笑)

九月猫さんのコメント
2014/02/05

nejidonさん、こんばんは~♪

いえいえ、続けるってやっぱりすごいことですよ。
もちろん楽しいのが大前提!
nejidonさんが楽しんで書いてらっしゃるのが、きっと読者の方々に伝わって、
読んだほうも楽しくなって、またご訪問!と、素敵な循環になっているのでしょうね(´∀`*)

うーん、アガリ症・・・ですねぇ。
しかも、いいトシして恥ずかしがりの人見知りなんです(笑)

うふふ~、nejidonさんとお話してるとワタシも楽しいです!
なんてったってワタシたち「両思い」ですものね(笑)

小川さん愛に満ちたコメントもありがとうございます!
そちらにもお返事しております♪

九月猫さんのコメント
2014/03/01

nejidonさん、こんばんは~♪

「猫の日」には間に合いませんでしたが、再読できました(*´∀`)ノ
やっぱり、いつ読んでも何度読んでも、楽しい本ですね♪

日々、未読本に追われ(昨年から図書館通いも始めたので)
再読したい本はつい後回しになってしまうので、
よいきっかけをいただきました。
おかげで楽しい「猫の日」読書になりました。
ありがとうございましたー♪♪♪

nejidonさんのコメント
2014/03/01

九月猫さん、こんにちは♪
わぁお!わざわざのご報告、ありがとうございます!
こんな古いレビューを見つけてくださっただけでも嬉しいのに、感謝でいっぱいです。
九月猫さんのレビューにはお気に入りだけ付けて、後日コメントをと思っていたのですが、先を越されてしまいました(笑)
記憶に残る「にゃんにゃん読書」になったでしょうか。うっふっふ。

そうそう、ワタクシも未読本に追われる幸せな日々を過ごしています。
再読したい本は、どうしても後回しなんですよね。
眠くならない目が欲しいです!!
また後ほど、そちらにお伺いしますね。
ありがとうございました!!

アテナイエさんのコメント
2020/07/30

nejidonさん、こんにちは。お久しぶりです。こちらは少し前のレビューのようですが、目にとまったので、クスクス笑いながら拝読しました。楽しいレビューをありがとうございます。
ポール・ギャリコはたしか児童心理学などでも有名な河合隼雄さん繋がりではじめて知り、ギャリコの猫の『トマシーナ』を読んでから、この本もちょっと気になっていました。もう何年も前に愛猫をなくして、いまだペット・ロスもどきです(笑)。近所の猫が濡れ縁に昼寝にくると、ちょっと小躍りしながら(小躍りしているのは猫ではなく私です)、ミルクをあげる程度の付き合いしかありませんが、はやり猫は可愛いですね。タイトルも表紙もよいので、重めの本の合間に眺めてみたいです♪

nejidonさんのコメント
2020/07/30

アテナイエさん、こんにちは(^^♪コメントありがとうございます。
こんな古いレビューがタイムラインに上がっただけで驚いていたら、コメントまでいただけてすっかり喜んでおります。
ペットロスは辛いものがありますね。何年たっても、可愛い子はずっと可愛いままで。
我が家もこのレビューの中に書かれた子たちは、今はひとりもおりません。
とても楽しく読める本なので、ぜひお時間のある時にお読みくださいな。
実は私もアテナイエさんにコメントしようと思っておりました。
「プリズン・ブック・クラブ」という本を読んだときに、無性にアテナイエさんにお話ししたくなったのです。
刑務所読書会のノンフィクションなのですが、課題図書に「すべての美しい馬」があったせいかもしれません。
でも一方的にお話するのも変なので、控えておりました。
今ようやく機会が巡ってきて、都合よく利用しています・笑
お好みに合うと良いのですが、もしよろしければどうぞ。
ええと、変な締め方になりました(+_+)
笑っていただけたら嬉しいです。ありがとうございました!

アテナイエさんのコメント
2020/07/30

こちらこそ楽しいコメントにニンマリしています。ありがとうございます(^^♪
道を歩いていると、多くの猫に会えるので楽しいですが、なぜか散歩中の犬には唸られます(わたしは猫の匂いがするのかしらん?)

『プリズン・ブック・クラブ』のレビューを拝読しました。いつもながら流暢にまとめられていますね♪ 面白そうなノンフィクションです。しかも課題図書に『すべての美しい馬』があったようで、びっくりしました。馬の描写が妖艶かと思いきや、メキシコのすさまじい刑務所が出てきます(笑)。コーマック・マッカーシの国境三部作の第一作目にやっと手がつけられました。ずっと積読状態で古漬けになっていかない心配でしたが、いやいや、美しくみずみずしい、とても味わい深いです。今晩にでも読み終えそうなので楽しみです。さらに『プリズン・ブック・クラブ』の課題図書には、『怒りの葡萄』もあるようですね!?(違っていたらごめんなさい)、なんとおもしろいセレクションでしょう!

nejidonさんのコメント
2020/07/30

アテナイエさん、再訪して下さってありがとうございます!
犬には警戒されるのでしょうか。私と同じです・笑
きっと猫にしか見えない人間なのかも!!

プリズン・ブック・クラブのレビューまでお読みいただいて嬉しい限りです。
そうそう、怒りの葡萄もありました。
まさかと思うような読み応えのある選書で、しかもそれをしっかり読み込んでくるのですよ。タトゥーを入れたいかつい人たちが。
「すべての美しい馬」は、私は映画の方を先に見ました。また本だと違うのでしょうね。
刑務所読書会の選書がとても魅力的で、読みたいと思う本がずいぶんあったのです
アテナイエさんなら、その辺りも興味を持って読んでいただけるかと思います。
ああ、お薦めしてみて良かったです。
今後の読書計画の中の一冊に入れてみてくださいませ(^^♪
今夜は可愛い子たちの夢を見られますように。にゃん・にゃん。

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