タイトルだけ見ると、飼い主さんのための本だと思うでしょう?
ところがこれは、大人猫が子猫のために書いた本なのです。
何しろ、我が家の子猫も読んだくらいですから。。(嘘ですよ)
先ず前書きからして意表をついています。
ある日著者ポール・ギャリコが、大手出版社の編集者である友人から、暗号を並べたかのような不思議な原稿を受け取ります。
話によると、友人宅に突然届けられたものらしいのです。
数ヶ月かかって解読したのがこの本で、どうやら猫がタイプライターで打ったものだというのです。そしてその内容はと言うと…
驚くことに、猫の行動パターンは全て計算ずくで、いかにして人間に上手く取り入って「快適な暮らし」を手に入れるかに重点が置かれていると言うのです。
曰く、人間の家をのっとる方法。
どんな家が良いか、どんな表情や仕草が効果的か、何に注意をはらうべきか、
獣医さんにかかるときはどうするかなどなど。
そのためには人間というものを理解しなければ、とこの大人猫は語りますが、そこの描写が実に心に痛い。つまりこうなのです。
『人間の愛情に対しては、用心深くしていなくてはなりません。
なぜなら時として、ムチで打たれるより痛い思いをさせられることがあるからです。』
一度飼って(この表現は好きではないけど、便宜上使います)おきながら、こちらの都合だけで突然見捨てたりする人たちが、後を絶たないというのが現実です。捨てた経験などない私でも胸が痛む箇所があちこちにあり、苦労してこれを書いた猫の努力は、無駄ではなかったと思いますね。。
読んでいる途中、何度も我が家の猫たちを観察しては、君たちはこんなことを考えていたの?その椅子は私が譲ったんだよね、君たちが乗っ取ったものだったの??
まさか、よその飼い主さんと二股かけてないよね?ねぇねぇ。。
不安になったり、くすくす笑ったり、悲しくなってきたり、と大変忙しい思いをさせられました。
皆さんもきっと、思い当たるエピソードがいっぱいありますよ。
ページの合間に掲載されている猫の写真も、愛らしいものだらけ。
巻末の「大島弓子さん」の漫画も、深い味わいを残します。
すべての飼い主さんに、心からお薦めの一冊。
- 感想投稿日 : 2010年2月22日
- 読了日 : 2007年2月22日
- 本棚登録日 : 2007年2月22日
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