ねずみとくじら (評論社の児童図書館・絵本の部屋)

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5

干支にまつわる本の三冊目。
いつの間に三冊目? はい、本棚の同じ並びにありますよ。

ウィリアム・スタイグの絵本に瀬田貞二さんの和訳という黄金コンビ。
これまで何冊も紹介してきたがこちらも名作で、ファンも多い。
遠目の効く見やすい絵。ややクラシックな訳語。
読み聞かせに使いたいところだが、何しろ17分と長い。
支える右手が決してグラつかないという自信のある方向け。
ワタクシ?やりません。だって必ずグラつく自信があるから。

海が大好きなねずみのエーモス。
船を造り、航海術を学び、準備万端でさあ、出発。
ところが、興奮のあまり船から落ちてしまう。
大海原に取り残されて絶望するエーモスを助けたものは、
なんとくじらのボーリスだった。。。

小さな小さな陸の生きものと、大きな大きな海の生きものとの友情物語。
まさかと思う方は読んでみてね。
違いを認め合い、尊敬しあい、互いのために本気で尽くす。
最後なんて、泣けてくるから。

スタイグのお話の素晴らしい点は、登場するキャラたちの
心の変化をしっかりとらえて描写するところ。
そして、どうなったかを最後まできちんと伝えるところ。
(結末を曖昧にしたまま終わる絵本も多いのよ、
信じられないだろうけど)挿絵の巧さは言わずもがな。
描きこみすぎず、描き足りないでもなく、遠近が明確で柔らかい色彩が絶妙。
それに、何よりもお話があったかい。

ということで、ラストだけ載せてみる。
ブク友さんもちょうど同じことをしているけど、どうしても載せずにいられない。
『「さよなら、なかよしのくじら」とエーモスは、ちいさなこえでなきました。
 「さよなら、なかよしのねずみ」とボーリスがほえました。
 そしてなみまに しずみました。
 ふたりは、このさき2どとあえないことを しっていました。
 そしてぜったいに あいてをわすれないことも しっていました。』

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 絵本・通年
感想投稿日 : 2019年12月19日
読了日 : 2019年12月19日
本棚登録日 : 2019年12月19日

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コメント 2件

ハイジさんのコメント
2019/12/19

こんばんは
ラストの部分
ジーンと心にしみて泣けます
電車でしたので焦りました…
素敵です!

nejidonさんのコメント
2019/12/20

ハイジさん、こんにちは(^^♪
いつも「いいね」を下さってありがとうございます!
このラストは心に沁みますよね。
なぜこういう結末なのかは、お読みいただくしかありません。
とても絵本と思えないようなお話です。
読み終えた後は、長年のたったひとりの友だちを思いました。
電車の中でしたか。。それは危なかったですね・笑

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