干支にまつわる本の三冊目。
いつの間に三冊目? はい、本棚の同じ並びにありますよ。
ウィリアム・スタイグの絵本に瀬田貞二さんの和訳という黄金コンビ。
これまで何冊も紹介してきたがこちらも名作で、ファンも多い。
遠目の効く見やすい絵。ややクラシックな訳語。
読み聞かせに使いたいところだが、何しろ17分と長い。
支える右手が決してグラつかないという自信のある方向け。
ワタクシ?やりません。だって必ずグラつく自信があるから。
海が大好きなねずみのエーモス。
船を造り、航海術を学び、準備万端でさあ、出発。
ところが、興奮のあまり船から落ちてしまう。
大海原に取り残されて絶望するエーモスを助けたものは、
なんとくじらのボーリスだった。。。
小さな小さな陸の生きものと、大きな大きな海の生きものとの友情物語。
まさかと思う方は読んでみてね。
違いを認め合い、尊敬しあい、互いのために本気で尽くす。
最後なんて、泣けてくるから。
スタイグのお話の素晴らしい点は、登場するキャラたちの
心の変化をしっかりとらえて描写するところ。
そして、どうなったかを最後まできちんと伝えるところ。
(結末を曖昧にしたまま終わる絵本も多いのよ、
信じられないだろうけど)挿絵の巧さは言わずもがな。
描きこみすぎず、描き足りないでもなく、遠近が明確で柔らかい色彩が絶妙。
それに、何よりもお話があったかい。
ということで、ラストだけ載せてみる。
ブク友さんもちょうど同じことをしているけど、どうしても載せずにいられない。
『「さよなら、なかよしのくじら」とエーモスは、ちいさなこえでなきました。
「さよなら、なかよしのねずみ」とボーリスがほえました。
そしてなみまに しずみました。
ふたりは、このさき2どとあえないことを しっていました。
そしてぜったいに あいてをわすれないことも しっていました。』
- 感想投稿日 : 2019年12月19日
- 読了日 : 2019年12月19日
- 本棚登録日 : 2019年12月19日
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