トレーシングペーパーのようなごく薄い紙に、花や蝶などの小さなモチーフのイラストが色鉛筆で丁寧に描かれている。
紙が薄いので、次のページの絵もうっすら透けて見える仕組み。
なんてお洒落。これは電子書籍では決して真似できない。
当然のことながら、そおっとめくっていく。
文章は、1ページに一行か、せいぜい二行。
繊細な本のつくりを損なわない、詩のような短い言葉たち。
でもちゃんとメッセージは伝わってくる。
宝箱のようなこの本は、つまり丸ごと「ブローチ」のようだ。
次はどんな絵?と一度目は楽しみにめくって読んだので、二度目は内容に集中して読んだ。
心が揺れてしまう女性の気持ちを、とても上手く表現していて、終わりに近づくにつれ希望が見える。
縄跳びがだんだん気球になっていく流れと、終盤の『満ちている今を 忘れてしまわないように』という部分の二枚重ねがそれはそれは素敵。
タイトルの意味するとことは、読まれた方がそれぞれきっと見つけてくださるかと思う。
週末に立ち寄る絵本屋さんが、この本のことをこう評していた。
【表紙が見えるように飾っておきたい一冊ですね。】
私もそう思います。大人向けの、特に女性向けの本。
ちょうど、映画【わが母の記】を見終えたばかり。
樹木希林さんの若かりし頃の役を演じていた内田也哉子さん。豊かな才能をお持ちなのね。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
絵本・通年
- 感想投稿日 : 2014年5月10日
- 読了日 : 2014年5月3日
- 本棚登録日 : 2014年5月7日
みんなの感想をみる