「書斎」繋がりで読んでみた内澤旬子さんの本。
31名のセンセイ方の書斎紹介だが、写真で見るのとはひと味もふた味も違う。
どれも丹念な線画イラストで描かれ、センセイ方の似顔絵とデスク周りの風景、天井から見た俯瞰図で書斎のレイアウトを紹介し(妹尾河童さんのシリーズみたい)、更に本棚に並んだ本などを描いて細かな説明もつく。
思わず歓声をあげてしまう著者の熱量だ。
「絶景本棚」では見えにくかった書名も、今度は鮮明に見える。
センセイ方へのインタビュー記事も入り、読み応えじゅうぶん。
何とまぁ、石井桃子さんも取材を受けていらっしゃる。ああ涙腺がゆるむ。。
内澤さん、偉い!素晴らしい!良くやった!という本である。
当本棚で内澤さんのお仕事ぶりを書くのは2冊目。
1冊目は「本に恋して」だった。
今回前書きで知ったことだが、イラストも文章も誰かから教わったことがないらしい。
色々な人からコツを教わりながら来たというが、たぶんお人柄が成せるわざだろう。
他人に本棚を公開するのは、案外勇気のいるもの。
仕事場である書斎を訪ねて、書棚だけでなく書名まで克明に載せ、なおかつ似顔絵まで描かせてもらうなんて僥倖と言えるのではないだろうか。
作家さんのみでなく、評論家や翻訳家、フランス文学者や建築家、茶道史家、社会学者、ブックデザイナー、古書店や新刊書店まで訪問している。
養老先生、米原真理さん、荻野アンナさん、上野千鶴子さんのお名前も。
こーんなに読んだの?!あ、この本は私も読んだ!これはどんな本?
食事もここでするの?うわぁ、すごい仕掛けの本棚・・(これは林望センセイ)。
紙だらけでカオス状態の書斎。茶室のような書斎。密林のジャングルのような書斎。上野千鶴子さんのデッドストックが全くないという奇跡のような書斎。
猫がいたり楽器が置いてあったり段ボール箱だらけだったり。
ひとつひとつ見ていると、どのセンセイも不思議に親近感が湧いてしまう。
上に載せた石井桃子さんや金田一春彦さんのように、主の亡くなられた書斎もちらほら。
7年間にわたって3つの雑誌に連載したという、書斎イラストルポのまとめらしい。
居心地良い書斎を作り上げようとするセンセイ方の努力と、それを伝えようとする内澤さんの情熱が圧倒的だ。
図書館本なので見ることもなかったが、帯文は荒川洋治先生が書かれたという。
しかも幻戯書房の代表取締役は、本書の刊行当時辺見じゅんさんだった。
鬼籍に入られたのが2011年。
この本を手にされたことを思い、ちょっぴり胸を撫でおろした。
- 感想投稿日 : 2020年11月14日
- 読了日 : 2020年11月14日
- 本棚登録日 : 2020年11月14日
みんなの感想をみる