世界観が安定しないというのは、これほど興味を妨げられる物なのか。
本書は、日本に来たことがない外人が書いた本の翻訳物という扱いになっている。そのためか、世界観がまったくと言っていいほど理解できず、ふわふわして落ち着きがなく感じられる。書かれていた当時ならば安定していたであろう部分も、現在の時勢とのズレが発生しているから、昭和時代を想像しながら読み取らねばならない。
要するに疲れるのだ。
普通の人間が刀を挿している世界のイメージを想像するだけで労力がいる。それが、日本の現在のことであるからなお混乱する。それも、現在というのも書かれた当時の現在のことであり、2013年の現在ではない。
つまり、2013年の現在に使える便利アイテムはほとんど使えない。携帯電話とかインターネットとか存在しないのだ。それでいて、電話は存在しているようである。なのに、花魁道中があったりして……。
推理部分は面白いのだが、それも、どんなインチキだってあるんじゃないか?そんな風に捻くれて考えたりしてしまって、どうしてものめりこめない。
確かに、こんな世界観にしなければ書けなかったと思うので、本書の方向性は正しいとは理解できるが、個人的には引き込まれなかった。
ロジックの組み立て方は緻密さが感じられ好感を持てたので、他の作品を読んでみたい。そう感じさせられた。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2013年1月12日
- 読了日 : 2013年1月12日
- 本棚登録日 : 2013年1月12日
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