死と滅亡のパンセ

著者 :
  • 毎日新聞社 (2012年4月27日発売)
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感想 : 7

ちょっと欝な雰囲気。この人の本初めて読んだけど。

石巻市出身。出版が大震災後…とくれば半分は地震に関する内容でした。薄ら寒いファシズムと人々の内側から来る自己言論統制…に継承を鳴らす話。

私はいいことだとおもうんですよね。ファシズムが戦争になっちゃったらもちろんまずいんだろうけど、人間弱いし、文献もない時代からより暑なって暮らさなきゃいけない弱い生き物なんだから、そうやって自分たちで圧力をかけてまで生き残ろうとするのはむしろいじましくて健気なんじゃないかな。遺伝子残したいなっていう遺伝子に書き込まれてることに従って自分たちで暮らしにくくしてる姿ってかえって人間臭くて切ないんじゃないかな。

むしろ辺見さんがそうやってファシズムを糾弾するのは、個人主義的にすぎるんじゃないかなーと思うんです。社会の流れに逆らって言いたいこというのって、いいと思うけど(必要なことですらあるかもしれないけど)集まらなきゃ人間じゃない、みたいな側面だってあるんじゃないかしらー。

”正しい”ものがどこにもないんだったら、世間に迎合して結果的に自滅するのさえアリな行き方なんじゃないかなーー

いかんいかん中二病が…


「かつてあったことはこれからもある
かつて起こったことはこれからも起こる

太陽の下、新しいものは何一つない」
…っていうのはもっと本質的な話であって、この震災ぐらいのことは「太陽の下…」で語ってしまうと何回もあったことなんではないかな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2012年6月2日
読了日 : 2012年6月2日
本棚登録日 : 2012年6月2日

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