ズゥーンと重たい方の貫井作品。やはり読んでいても
なんだか精神的疲労を伴うのですが、それが決して
不快じゃないんだから、やはり凄い。
ミステリ作家の描く宗教作品の場合はどうしても
カルトに寄ったものが多いイメージですが、今作は
もうガチでテーマが救済だけあって、まるでイメージ
したものと違ったのも自分にとっては良かったような
気がします。
本当の絶望の中から抜け出すという事。救済とは
どういう事なのか。そして新興宗教というシステム。
様々な事が絡み付きながら、ゆっくりと静かに
ストーリーは常に破滅ち終焉を孕みながら進んでいく様は
ある意味圧巻で、ページを捲る手と目を休ませてくれません。
主人公の「雪籐」の視点のパートと、母娘関係の破綻から
家出した娘を探す主婦「嘉子」のパートが挿入されて、
展開されるのが少々疑問だったのですが、終盤にその
2つのパートが交錯し、この2人が繋がってくる時の
恐怖と驚愕は、流石ミステリ作家。救済をテーマにしながらも
ただ重く描くだけではないところが流石。
500P越えの長編ですが長さを感じず、かと言って
軽く読み流せる訳ではない、貫井さんらしい楔を
打ち込むような作品。そして珍しく読後感は...
悪くないです。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
国内作家な〜
- 感想投稿日 : 2011年7月3日
- 読了日 : 2011年7月3日
- 本棚登録日 : 2011年7月3日
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