ヘタな人生論より徒然草 (河出文庫 お 14-1)

著者 :
  • 河出書房新社 (2006年10月5日発売)
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本棚登録 : 191
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2021年 28冊目

 私にとって自己啓発本は読者や人々を一般化することに抵抗感があり、敬遠していました。しかし徒然草は今から約700年前のエッセイ。現代と似通う人々の有り様は、人間として生きていく上での普遍性を問われているようです。人のみっともなさ、愚かさを斬って斬って、斬りまくる兼好の随筆と筆者荻野さんの文体が痛快です。
 悩み苦しむ自己を受容しろ、というような一節がありました。仏法の教えらしく救われるものでしたが、決して内省を辞めろというものではありません。世間から敬われるゴリッパな人間になれというものでもないと思います。醜い感情を認め、反省しながら自律を目指す姿勢が美徳だと解釈しています。「こうしなければならない」という強い主張ではなく、自分にとってよすがとなりうる考えとなりました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2021年3月28日
読了日 : 2021年3月28日
本棚登録日 : 2021年3月25日

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