日韓関係、日中関係がもうずいぶん長い間こじれてしまっていますが、なぜこのようになってしまったのかについて、イデオロギー抜きで客観的に記述してくれているものはないのかと思っていたところ、新聞書評で今年1月に出版されたこの本が取り上げられていたので、早速読んでみることにしました。
歴史教科書問題、靖国神社公式参拝問題、従軍慰安婦問題、村山談話の経緯や日本の対応と韓国・中国の反応、近年の状況、これからの見通しと、必要な情報がコンパクトながらわかりやすくまとまっており、非常に勉強になりました。
これを読むと改めて、日本人の立場としては、これまでもかなり何度も「総理による公式な謝罪」は言っているし、歴史教科書の記述ではずいぶん譲っているし、従軍慰安婦への保障も法的に可能な範囲でできることはやってきているように思われるのですが、それがなかなか理解されていないのだなという印象を受けます。それらの対応を「自虐史観」として否定する言論が国内に現に有力にあって、それらも同時に伝わってしまっているためなのでしょう。
この本の結論にもありましたが、「相互理解」を双方の国民のコンセンサスとするのはとても一筋縄では行かず、まだまだ末永い辛抱強い努力が必要なようです。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
政治・行政
- 感想投稿日 : 2015年6月2日
- 読了日 : 2015年6月2日
- 本棚登録日 : 2015年6月2日
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