うーん、すばらしい!「開かせていただき光栄です」に続編があったとは。おまけにそれが前作を上回る面白さ。物語を読む楽しさを満喫した。
華麗にしてグロテスク。ダークでありながら上品。「少年十字軍」「海賊女王」そして本作と、ここのところ精力的に新作が出ていて、そのこと自体が驚異的だ。作品の趣はそれぞれ違うが、そこには一貫して透明な空気が流れている。こんな風に書ける人が他にいるだろうか。もうこれは唯一無二の皆川ワールドだ。
舞台となっているのは18世紀の英国で、その時代のことなどほとんど知らないに等しい。にもかかわらず、ああ、きっと人々はこんな風に生きていたんだろうと思わせられる、確かな感じがある。それはきっとこの世界が、作者の血となり肉となったものから生まれているからだろう。その厚み、陰翳の濃さに圧倒される。
ああだこうだと考えず、ただただ物語の流れに身をまかせて最後まで運ばれていく、こういう読書ができることはめったにない。堪能しました。はぁ~。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
国内ミステリ
- 感想投稿日 : 2014年1月17日
- 読了日 : 2014年1月17日
- 本棚登録日 : 2014年1月17日
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