家族の悪知恵 (身もフタもないけど役に立つ49のヒント)

著者 :
  • 文藝春秋 (2014年5月20日発売)
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感想 : 75
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やっぱりサイバラは無敵だなあ。こんなにスッキリする人生相談も珍しいのでは。

家が厳しい状況なのに、ももクロにハマっている夫を改心させるには?という相談への回答は、「手は二本しかないので、子供の手を一本ずつ握って、ダンナは川に流してください」。四年前に夫を亡くして以来泣いてばかり、どうすれば気持ちを切り替えられるのか?という相談には、子供を亡くしたと思ってみろ「世の中にはそんな地獄を見ている人がどれだけいるか」「夫が死んだくらい屁でもない。甘えるな!以上!」。

家族が、特に夫婦が憎み合って一緒にいるほどの不幸はない、そういう「生活習慣」を自分の代で断とう。我慢しすぎず、あっちこっち気を回しすぎず、堂々と、したたかに生きよう。この本は、そういうサイバラの叱咤激励に満ちている。

何度も大笑いしながら読んだが、一箇所、ちょっと泣いちゃったのがある。子供好きだが病気で子供が産めなくなり、特別養子縁組を考えているが不安だ、という相談に対する回答だ。
「いやもう、よその子でも何でも、ウチに来ちゃったら”ウチの子”じゃん。」「前にネットで見た話で、やっぱり子供がいなくて施設から子供を引き取ろうと思った人が、いろいろ手続きが終わって、紹介されたその子を見た瞬間に『ああ、ウチの子がここにいた』と思ったって。『こんなとこにいたのか』『何やってたんだよ、今まで』ぐらいの感じだったみたいよ」「うっかり屋さんのコウノトリが間違えて落としてきちゃったあなたの子が、どこかの施設で待ってます。早く迎えに行ってあげましょう」
こういうことを、確かな説得力を持って語れる人を他に知らない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 人生相談
感想投稿日 : 2014年8月31日
読了日 : 2014年8月31日
本棚登録日 : 2014年8月31日

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