有名無名(私が知らないだけ?)取り混ぜたユニークな顔ぶれの方たちが、思い入れのあるマンガについて語った一冊。こういうのでは必ずあがる、手塚治虫や少女マンガの24年組をはじめとして、貸本マンガから現在連載中のものまで、幅広く取り上げられていて楽しい。
書き手もマンガも本当にバラエティ豊かなのだが、共通しているのが語り口の熱さ。どんなに面白いか、どんなふうに自分が影響を受けたか、皆さん実に楽しそうに書いている。好きなマンガについて語るときって、どうしてこうみんな熱っぽくなるんだろう。
自分も好きだったり読んだことのあるマンガについて書かれているものが、やはり興味深い。荻原規子さんの「動物のお医者さん」に、うんうん!とうなずき(最近何度目かの一気読みをしたばかり)、「寺島町奇譚」(永江朗さん)に、懐かしい~~とまた読みたくなり(どこかにあるはず。たぶん)、高野秀行さんが「プロゴルファー猿」を真似した子どもの頃のことを書いていて、「またやぶけの夕焼け」を再読したくなり、と、マンガ心、本心を激しく刺激された。
「学者芸人」サンキュータツオさんが、「日出処の天子」について書いている。これが実にツボを押さえていてわかりやすい。前に読んだ「ヘンな論文」もとても面白かったが、この方本当に説明がうまいなあとあらためて思った。
あれもこれも読みたくなったなかで、この後すぐ読み返そう!という気になったのが「自虐の詩」。中条省平さんが、「読まぬは一生の損」「極めつきの名作」とまで言って紹介している。読んだのはずいぶん前だが、鮮烈で忘れがたいマンガだった。あれを再体験しようっと。
- 感想投稿日 : 2016年2月19日
- 読了日 : 2016年2月19日
- 本棚登録日 : 2016年2月19日
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