以前からそうだけど、SFは「すごく面白い!」のと「こりゃ読めん」のと両方ある。だからアンソロジーはありがたい。長編を買ってどうにも読めなかったときのダメージは大きいもの。
今回は、新井素子さんの作品が印象に残った。あの文体は決して好きな方ではないけれど、この「絵里」という作品ではとても効果的だ。切ない余韻があった。円城塔さんはいつものように、よくわからないところがいい。(←あ、私にとっては、です)
しかししかし。なんといってもダントツで、これはすごい!と思ったのは、とり・みきさんの「Mighty TOPIO」というマンガであった。東日本大震災チャリティー漫画アンソロジー「僕らの漫画」が初出だそうだ。この、たった8ページのマンガに、私は笑って、そして泣きました。ボランティアや原子力をギャグにして笑えるなんて思ってもみなかった。最後のページで子どもたちが、お地蔵さんのように立つロボットTOPIOに手を合わせるコマは、思い出しても目頭が熱くなる。人間の行いを痛烈に打ちつつ、祈りに満ちた傑作だ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
SF・奇想・幻想・ホラー
- 感想投稿日 : 2013年8月17日
- 読了日 : 2013年8月17日
- 本棚登録日 : 2013年8月17日
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