ぼくは猟師になった

著者 :
  • リトル・モア (2008年9月2日発売)
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感想 : 92
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昨晩著者がテレビに出ていて(NHKのクローズアップ現代「ハンターが絶滅する?」)、そうそうあれは面白かったと思いだし再読。

飄々とした語り口がいいいなあ。京都市内で何と猟師(銃ではなくワナ猟)をしながら暮らす、その生活とそこに至るまでのこと、また、実践的な狩猟ガイドや獲物の解体法、調理法などなど、まあ他にないユニークな内容の本だ。

本書が出たときはちょっと話題になった。新聞書評や本の雑誌にも取り上げられていた。エコとかスローライフ系?と思って読んだら、全然違ってた。何と言うか、すごく自然で、理屈が先に立つところが全くなく、このご時世にこんなに軽やかに生きている若い人がいるんだと思って、本当に嬉しくなった。久しぶりに読んでもその思いは変わらない。狩猟などまったく興味がない人でも楽しく読める一冊だと思う。

この人は私と同じ大学の出身で、しかも学部も専攻も同じ「大後輩」になる。私にとって本書のハイライトは、著者がまだ学生の時初めて仕留めた鹿をバイクの後ろに積んで京都市内を走り(!)住んでいた大学構内の学生寮に戻って、寮生とともに鹿を解体し大宴会をする場面だ。この寮は当時で築八十年(何と築百年近い現在もそのままある。一目見て魅せられる人と絶対ムリ!と思う人がいるだろう木造二階建て)、著者が全寮放送をかけるとワラワラと寮生が集まってくる。包丁を持ってくる奴、酒を集めてくる奴、みんなでわいわいと鹿を解体し、鹿肉を堪能する宴会になだれ込んでいったそうだ。ああ、なんて懐かしい雰囲気だろう!私は寮には住まなかったが、友人に寮生がいてよく出入りしたので、この空気はすごくよくわかる。時を飛び越えてその場にいたような気持ちになった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2013年2月15日
読了日 : 2013年2月15日
本棚登録日 : 2013年2月15日

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