本書はこれまで読んだ小説の中でも相当お気に入りの1冊になりました。
私がこの辞書のように分厚い本を読み切ろうと決意したのは、冒頭心優しい少女セラフィマが「戦いたいか、死にたいか」とイリーナに問われ「ドイツ兵も殺してお前を殺す」と戦いを宣言するシーンがあったからです。ただの活字なのに「お前を殺す」という心からの叫びが聞こえました。彼女の復讐が遂げられるかを見守りたいと思いました。
本書は戦争が題材になっているので、ショッキングな場面も多いですし、どうしてあの子がとおもうような人物が死んでしまうこともありなかなか読むのが辛い場面もありました。
しかし、そんなシリアスなシーンもありながらクールで完璧な狙撃手が見せる意外な弱点や、セラフィマの母の遺体を焼いた冷酷非道と思っていたイリーナが冗談をいうシーン。戦地でときより訪れるつかの間の日常会話など大笑いはできないけどクスッとできる描写もあり、アップダウンを繰り返して読み切れました。
本書は1~10まで最高でしたが、中でもお気に入りはセラフィマの本当の敵の正体がわかるシーンです。本書のタイトル『同志少女よ敵を撃て』この台詞とともに放たれる弾丸が向かう先にいる真の敵が誰なのかそれをぜひ皆さんにも味わってもらいたいです。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年8月7日
- 読了日 : 2022年8月7日
- 本棚登録日 : 2022年4月17日
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