「他種とは異なる、ヒトの協力的な関わりはいかにして進化したのか」「ヒトの協力性の基盤となる仕組みはどういうものなのか」といった問いに対して、諸領域の学者が連携して取り組む。
1歳過ぎくらいで既にヒトは援助行動を自然に行うことや、ヒトが指さしで教示的な情報伝達ができるのに対して類人猿は「指示・命令」でしか指さしを理解できないことなど、初めて知った。
ヒトは生来援助的な性向・社会規範への強い感受性を持ち、社会的経験を通して、援助すべき対象を選考するなど行動を調整できるようになる、というのは分かりやすい。
個体の視線を手掛かりにして注意を共有すること、双方向的に意図を読むことなど、ヒトは互いの志向状態に敏感である。加えて社会的・文化的慣習の順守や同調への圧力など、「同じゴールを共有して行動する」ことの基底に、たくさんの要素がひしめいていることが分かった。
罪悪感や恥の感覚も、そうしたシステムと絡めて考えてみると面白い。
認知機能と言語能力の関係や、まだまだ謎の多い利他性に関して、さらなる研究の進展が待たれるところだ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
科学
- 感想投稿日 : 2015年7月11日
- 読了日 : 2015年7月10日
- 本棚登録日 : 2015年7月11日
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