炎の岳: 南アルプス山岳救助隊K―9 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2018年10月27日発売)
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本棚登録 : 98
感想 : 13
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<南アルプス山岳救助隊K-9>シリーズの4冊目。今度は新潮になった。
見慣れた北岳周辺の地図ではなくなったと思ったら、今回の舞台は幻の名峰として人気の新羅山(岐阜県のどの辺りにあるか調べたが架空の山だった…)。

やくざの世界から抜けるために誘拐を企てた男女と攫われた少年、彼らを追う組織に雇われたヒットマン、噴火の兆候を感じる火山地質学の大学教授、登山サイトで募集された山岳ツアーの参加者、そして救助犬チームの講演に招かれた夏実と静奈にメイとバロン。
前半は物語の舞台に集まってくる人々が丹念に描かれて、少しじれったくなるくらい。
しかし、舞台が整ってからは一気呵成。山は動き出し、教授は焦り、少年は脱出し、誘拐犯はそれを追い、ヒットマンは更にそれに迫り、ツアーの参加者はバラバラになり、救助隊は山に入る。
これでもかという噴火の描写に加えて、それぞれの行動が徐々に距離を詰め縦横に絡みあって畳み込むような展開に頁を繰る手が止まらず。
前作に続いて静奈とバロンが頼れるところを見せるが、今回はメイにも見せ場あり。異様な状況の中でも人を信じて駆け回る姿が出色。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2022年読んだ本
感想投稿日 : 2022年4月16日
読了日 : 2022年4月15日
本棚登録日 : 2022年4月16日

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