言葉の園のお菓子番 森に行く夢 (だいわ文庫)

  • 大和書房 (2022年8月10日発売)
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本棚登録 : 463
感想 : 38
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「言葉の園のお菓子番」の3冊目。
今回はいつものメンバーだけでなく歌人の久子さんが連れてきた作家先生の柚子さんや詩人の広田さんなどが彩りを添えて話が進む。
お菓子も色々な事情でいつもとは異なるお菓子が用意されるなど、3冊目になって目先も変えられて、お陰で今回もまた楽しく読めた。

シリーズを通して一葉の成長物語になっているのだが、連歌を巻いたりトークイベントで司会を任されたりの中で、他のメンバーの生き方にも後押しされて、徐々に心持ちが変わっていく様が好ましい。
同じ連衆が集まって同じ発句からはじめたとしても捌きによってはまったくちがう一巻になる、『正解のない分岐の連続』という連歌のあり様に、人生というものについても考えさせられる。『長く生きればやりなおし利く』なんて句もいいね。


詩人の広田さんの句がなかなか素敵。

 緑陰やまだらになりて歩きをり

 水滴となりあの人の胸に棲む


長編小説の公募の一次選考にも通らず落ち込む蛍さんの吹っ切れ方も良いな。一度つまずいて知る世界もあるよね。

 花が舞うやぶれかぶれで生きている


久子さんの教え子という若い人もたくさん参加してきて今までとは違った感じの句が新鮮に感じられる一方、ベテランの酸いも甘いも噛み分けた句がまた身に沁みた。

 山笑えども人のむずかし

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2024年読んだ本
感想投稿日 : 2024年2月8日
読了日 : 2024年2月5日
本棚登録日 : 2024年2月8日

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