背表紙は歌う (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社 (2013年7月28日発売)
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本棚登録 : 1010
感想 : 72
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2か月ほど前に読んだ「平台がおまちかね」の続編。

「ひつじくん」こと井辻くんもだいぶ営業の仕事に慣れてきたみたいね。真柴をはじめとした「マドンナの笑顔を守る会」の面々も同業他社同士でも相変わらず仲が良い。
出版業界と書店に対する愛情&ちょっと心配な気持ちがにじみ出る短編が5つ。取次のことや小さな書店の悩みなどがよく知れる。

謎解きのほうは、中途半端に先回りしたり忖度したり、持って回ったり含みを持ったやり取りで、解決したのやらしてないのやら、こちらも相変わらずちょっと緩め。
そんな話の中、「君とぼくの待機会」では文学賞レースの裏側での出版社の華やぎや受賞に備えた準備や担当者の心労や作家先生の微妙な胸の内が興味深く、業界の慣行と謎解きを絡めたところも楽しめた。

また、最終話「プロモーション・クイズ」での、なぞなぞで盛り上がる書店員さんや出版社の様子も微笑ましかったが、「平台が…」の最後の話で謎のパズルを考えた駒沢さんの友だちが働いているのが成風堂で、今回もまたなぞなぞを考えたのは内藤さんと同じ成風堂の人。よくよくこういうことが好きな人がいる本屋さんみたいね。
成風堂のシリーズ、まだ読んでいないので次はそちらへ行ってみよう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2023年読んだ本
感想投稿日 : 2023年5月24日
読了日 : 2023年5月23日
本棚登録日 : 2023年5月24日

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