無頼伝 涯 1 (少年マガジンコミックス)

著者 :
  • 講談社 (2000年7月1日発売)
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感想 : 39
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孤立せよっ…!打ち切り感と黒沢とネタかぶってる感はあるけど、この真理、普遍性。
「クズも同様に素晴らしい……!うまく生きれずとも…人から見たら…徒労…不毛に見える悪あがき…苦しみ…だとしても…輝きだ…!かけがえのない時間なんだ…!だからどんなに哀しく…ただジタバタしただけの日々だとしても…それを…奪う権利は……誰にもないっ……!」
凄惨さの肯定。享受。地獄を見すえて生きる。逃避しない。その上の人間賛歌。
涯には(福本漫画には)文学の初源性というやつが確かにある。文学なんて言葉を使うと逆に安っぽく聞こえるくらいの文学性。
運命は誰とも共有できない。誰も自分の運命への苦悩・煩悶を本当に理解してもらうことはできない。なぜなら自分の運命に焦り苛立つ以上に、他人の運命に共感することなどできないから。真実の感情は自らにのみ起因して起こる。誰にも転嫁できない。つまり、孤立している。
この事実を理解した上でなお、それでも共有しようとする手段が文学であり、57億の孤独(あかり)なのだろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 漫画
感想投稿日 : 2011年8月23日
読了日 : 2011年8月23日
本棚登録日 : 2011年8月23日

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