2015年日本ホラー小説大賞受賞作。
三部構成になっていて、一部は田原秀樹の視点から描かれる”ぼぎわん”のわけのわからない怖さ。しかし確実にそれは秀樹を執拗に狙い、周囲の人間が襲われていく。一部の終わりは正直「うえっ」って声をあげちゃいました(褒めてます)。二部は秀樹の妻、香奈の視点で描かれる、娘の知紗に迫り来る”ぼぎわん”。ここで面白いと思ったのは香奈から見た秀樹の姿。ここだけでも褒められる(特に男性が書いたとは思えない核心をついた似非イクメン)。三部は秀樹に依頼されたことにより、結果的に”ぼぎわん”に深く関わることになるルポライター野崎の視点。野崎の恋人で霊能者真琴が動けなくなり、彼女の姉で真琴より強力な力を持つ琴子と共に”ぼぎわん”と対決するラストバトルが描かれる。
正直言ってしまうと、前半のわけのわからない「不気味さ」が良かったので、後半姿を現した”ぼぎわん”には恐怖を感じなかった(これは人によると思う)。古代より伝わる「忌まわしい何か」というのはよくある題材なんだけど、この作品で私がいいと思ったのは「近づいてくる怖さ」がちゃんと描かれているところ。それと電話がかかってくるとか、他人づてに「来た」ってわかる場面が最高に怖かった。なので、私がこの作品を高評価するのは前半に限って(後半は普通のホラー)。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ホラー
- 感想投稿日 : 2017年7月3日
- 読了日 : 2017年7月3日
- 本棚登録日 : 2017年4月22日
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コメント 2件
hiroさんのコメント
2023/06/05
ゆきやままさんのコメント
2023/06/05