現場力の教科書 (光文社新書)

著者 :
  • 光文社 (2012年9月14日発売)
3.76
  • (10)
  • (20)
  • (18)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 198
感想 : 22
4

経営戦略の教科書Part2
早稲田ビジネススクール講義名「組織のオペレーション」を纏めたものです。
自己否定、現状否定のマインドを持つ方、やたらお題目だけがいっぱいある会社にお勤めされている方、一生懸命仕事をしているのに業績に結びつかないという悩みを抱えている方などにお薦めです。

以下ネタバレです。
「はじめに」のなかで、『「現場力」という組織能力を回復させないことには、日本企業の再浮上はありえません。どうすれば「現場力」に磨きをかけ、もう一度強い「オペレーション」を構築することができるのか?この講義で学んでもらいたいのは、まさに、その一点にあります。』と語っています。

感銘を受けた主なポイントを明記します。
⑴経営の三つ要素は「ビジョン(why)」、「競争戦略(what)」、「オペレーション(how)」
⑵オペレーショナル・エクセレンスが目指すべきゴールは二つ。「圧倒的な業務効率化によるコスト優位性の創出」と「新たな顧客価値の創造」。
⑶現場力という考え方は資源ベースアプローチという概念に立脚したもの。資源は「有形資産」「無形資産」「組織ケイパビリティ」。競争戦略とオペレーションの整合性、一貫性を担保することはポジショニングとケイパビリティの一貫性を担保するということを意味します。
⑷現場力を磨く目的は、「自律的問題解決能力」によって、競争相手にはない独自の価値を全員で生み出すことです。
⑸サービス業においては、戦略-サービスポリシー-サービスレベル-オペレーションという縦の一貫性が大変重要です。同様の考え方に「サービストライアングル」というコンセプトがあります。(サービス戦略、人、システム)
⑹現場を上手にあおり、その取り組みに関心を示し、時に一緒に汗をかく。現場力の厳選であるボトムアップの動きは、トップダウンの働きかけによってしか生まれないのです。
⑺現場で実践される「らしさ」を体現する連続的な「行動習慣」が、それぞれの会社の風土や文化を作りあげます。よい風土を持つ企業では、「らしさ」が共有され、実践されていて、それが独自の現場力を生み出しているのです。
⑻「場」でPDCAサイクルを回す。
「らしさ」に裏付けられた行動習慣を身に付け、「人のプラットフォーム」をつくりあげるためには、「場」が必要です。
⑼褒める仕組みで現場力を高める。
(10)「オペレーショナル・エクセレンス」を誇る企業には、ひとつの共通点があります。それは「自己否定」「現状否定」という思想が根付いていることです。
(11)現場力という目に見えない力を湧き立て、推進するのはあくまでも「個の情熱」です。
(12)実際に現場で問題解決に取り組む際には、「見える化」を軸とした「問題解決のPDCA」が、効果的です。
(13)現場力を高めるための見える化。顧客、知恵、経営、状況、問題の五つ。
(14)差別化につながるコア・コンピタンスを生み出すために不可欠な、基本的であるが、普遍的な組織要件こそが現場力です。

上記の内容が主に感銘を受けた箇所です。また、それぞれの内容については具体的企業が紹介されており理解が深まりました。良書です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年7月24日
読了日 : 2013年7月23日
本棚登録日 : 2013年7月5日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする