『#ろんだいえん』
ほぼ日書評 Day333
タイトルの「ろんだいえん」、現代新作落語の祖とも言うべき三遊亭円丈が、(落語を)論じ、(落語の)台本を書き、(落語を)演じる「論台演」。師、三遊亭圓生に入門してから(執筆時で)45年、大卒サラリーマンなら70の声を聞こうという経歴だ。
本書の構成は文字通り、この1.論、2.台、3.演の3部構成となるのだが、第一章「論」で反りが合わなくても、第二章「台」で示される多くの "how?" は大変参考になると思うので、オススメだ。
円丈流「落語家3ランク」、下から順にアクター、アレンジャー、クリエイター。これ、説明を読む前から、不思議と腑に落ちる感があった。
そもそも古典などというが、現代メジャーな江戸落語の古典の多くは、圓朝(1839〜1900)が創作した当時の新作と、上方(関西)から移入・翻案した話であり、師いわくのクリエイトもしくはアレンジしたもの。教わった通りを忠実に再現(アクト)するものではなかったわけだ。
この辺りまでが「論」。その後の「台」は正直、読む人によって評価が変わると思う。台本のパターン分析やら、その書き手の傾向分析やらを行うのだが、題材となるテキストをよく分かっていないと全くチンプンカンプンだ。
そして最終章の「演」。ここはインタレスティングな意味で面白い。落語家は発声を学ばないのだそうだ。上手いのに花がない噺家、何故か陰気な感じのする噺家、それらの発声を論じた箇所などは、短いがなるほど感ある。
柳(柳家の一派)は禅、三遊亭はヨガ…という比喩も良い。これは、本文を読めば、落語を多少なりとも知っている人ならある程度理解できるはず。
目の使い方。ひとり芸の落語で、喋る相手(八っあんなら、相手は御隠居)をしっかり見ることの難しさ。昨今、バーチャル環境で、いかにも聞き手を見ているかのように喋る難しさを感じている人には切実な問題だろう。
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- 感想投稿日 : 2021年2月6日
- 読了日 : 2021年2月6日
- 本棚登録日 : 2021年2月6日
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