本当は危ない国産食品 ―「食」が「病」を引き起こす― (新潮新書)

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  • 新潮社 (2020年12月17日発売)
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(本から)
いまの農薬の特徴は浸透性

ビニールが柔らかいのは可塑剤を混ぜているから
劣化すると、可塑剤がパラパラと落ちてきます。
作物は根っこからこれを吸収。この可塑剤が今、内分泌撹乱物質(ホルモン作用を撹乱する物質で環境ホルモンともいう)として問題になっている

「残念なことに、日本のお茶からは100%、ネオニコチノイド系農薬が出ました」

ネオニコは、昆虫のアセチルコリン受容体にくっついて神経を興奮させ続けることで殺す仕組み

農薬の成分が全国の河川からも検出されることは、専門家にとっては常識でも、国民のほとんどは知らない。

脳細胞が”発火”する
環境脳神経科学情報センターの木村ー黒田純子
「ネオニコチノイド系農薬にはヒトの健康を害し、特に子ども達の脳の発達に影響する可能性がある」
一ニ年にアメリカ小児学会が「子供に対する農薬の暴露が、発達障害や脳腫瘍などを引き起こしやすくする」と警告

家庭にあふれるネオニコ系農薬

ネオニコの昆虫への毒性は、かつて問題になったDDTより「はるかに強い」と言われる。ただ、出荷量からすれば有機リン系の三倍以上も出荷されているのが「グリホサート」で、近年、複合毒性が明らかになってきた農薬である。
 これは、ベトナム戦争で使われた枯葉剤を作った、かつての世界最大バイテク企業モンサント(現在は買収されて、ドイツのバイエル傘下)が開発した除草剤「ラウンドアップ」の主成分だ。
ラウンドアップは非常に強力な除草剤で、雑草だけでなく、あらゆる農作物を無差別に枯らす猛毒である。そこで、モンサントは、この農薬に耐性を持つバクテリアの遺伝子を大豆などの種子に組み込んだ。そうすれば、ラウンドアップを空から撒くと雑草が消えて、耐性のある遺伝子を組み込んだ大豆だけが残るというわけだ。

川田氏
「信じられないかもしれませんが、収穫前にラウンドアップを撒いて小麦を枯らすんです。それから収穫すると、自然に枯れるのを待つよりも効率がよくて収量がいいんですね。この方法を、収穫した後に防虫や防カビのために農薬を撒くポストハーベストに対して、プレハーベストと言いますが、カナダ産やアメリカ産の小麦のほぼ全てからグリホサートが出ます」

提出されたモンサントの”機密書類”
「ラウンドアップを開発した責任者が『グリホサートとラウンドアップを同じ意味で使用してはいけません。例えば、ラウンドアップは発がん物質ではないと言ってはいけない。だから、グリホサートを使った除草剤全てにラウンドアップの商品名を使用することはできません。必要な試験を行っていません』」

ラウンドアップは、ネオニコと同じで、洗っても取れない。葉っぱから吸収されて、植物の全身に浸透していくからだ。

グリホサートを含む除草剤は、「脅威の除草力」などといったキャッチフレーズで、今もホームセンターやネットショップで売られていて、農家でない人たちが、道路や駐車場、学校のグラウンドなどに平気で使っている。やがて、恐ろしい病に見舞われるかもしれないとも知らずに・・・・・・。

グリホサートにはホルモンのように働く環境ホルモン作用も報告されており、これはネオニコともよく似ているが、それ以外に、薬剤耐性菌を作り出すことが分かっているという。

残留農薬の汚染が多い野菜・果物
1イチゴ   2ホウレンソウ  3ネクタリン 
4リンゴ   5ブドウ     6モモ
7サクランボ 8洋ナシ 9トマト 10セロリ

残留農薬の汚染が少ない野菜・果物
1アボガド  2スイートコーン  3パイナップル4キャベツ  5タマネギ  
6グリーンピース(冷凍)  7パパイヤ
8アスパラガス 9マンゴー  10ナス

五日間の有機野菜で体内の農薬半減

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2022年12月5日
読了日 : 2022年12月27日
本棚登録日 : 2022年12月2日

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