初めて読みましたがこれまでの江戸川乱歩とは少し違う世界観に酔いしれました。
「パノラマ島綺譚」は正に理想郷を舞台に一攫千金と楽園の為に犯罪を起こす男の話ですが、
トリックと言えば終盤の死体の隠し場所の謎解きくらいで
(それも目星を付けれるくらいの謎解き)ほぼ犯人目線で物語が進んでいくので、
逆に「一体この物語の終着点はどこだろう?」と乱歩の掌で転がされている感覚が強かったです。
乱歩本人が解説にもあるようにこのような夢想物語を描くことを恥ずかしいと思っていたようですが、
島に上陸してからの描写は耽美的で浮世離れしていて、
到底理解できぬ程の狂気なのに恐ろしく美しいと思ってしまう。
まるで宗教画や西洋絵画を眺めているような美しさで、
特に海中と最後の花火の描写は自分が「事件」を読んでいるにも関わらず、あまりの極彩色の暴力的な美しさに事件を忘れてしまう程でした。
「芋虫」や「人間椅子」とはまた違う狂気で、乱歩の才能に驚かされました。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2018年9月14日
- 読了日 : 2018年9月14日
- 本棚登録日 : 2018年8月22日
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