第170回直木賞の1作。
“熊”と言えば吉村昭の名作『羆嵐』がありますが、マタギと熊の壮絶な闘いがずっと描かれるのかと思いきやマタギの心理の移り変わりが静かに描かれるのが秀逸。明治期道東の自然の中で普段は過ごし生活の為にたまに街に出ることもあるタギが、熊との闘い(勝利と敗北)の中で変わっていく。【熊爪】と【穴持たず】【赤毛】の闘いは迫力あり、穴持たずに襲われた男の手当(目玉を吸い出して...)、格闘した相手の頭蓋骨を角につけたままの鹿、陽子の出産を鹿の出産と重ねて描くシーンなどは自然の厳しさを知る著者(実家が酪農、羊飼いの経験)だからかけるリアリティがありました。
【熊爪】の最後が、“ともぐい”ということなのか。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2024年2月23日
- 読了日 : 2024年2月23日
- 本棚登録日 : 2024年1月7日
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