話の内容はまさにおとぎ話というか、ちょっと浮世離れしていて、
さすがにうちみたいな田舎にも、そこまでの風習は残ってないよ、
というレベルの現実味のなさなんですが、気がつけばその現実味の
なさが妙にリアルになっていて、もしかするとそんなこともあるかも、
と思わされてしまいました。
小難しい描写もなく、淡々と読めます。
城持ち大名の子孫、若様と呼ばれる天然良い子ちゃんな受と、
全てを持たない世捨て人のような攻という、ちょっと一見どうしたって
かみ合わないような組み合わせです。
普通じゃ絶対に価値観があわなくて、交わることさえなさそうな設定
なんですが、それゆえに強烈に惹かれ合ってく様が小気味よい。
かみ合わないふたりにも、共通する孤独感を思うとき、なんだが
胸がぎゅーっと締め付けられるような気持ちになり、涙ぐみます。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
一穂ミチ
- 感想投稿日 : 2012年3月12日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2012年3月12日
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