COLD HEART in NEWYORK (ビーボーイノベルズ) (B-BOY NOVELS)

著者 :
  • リブレ出版 (2014年8月18日発売)
4.17
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本棚登録 : 249
感想 : 15
5

予想以上に糖度の高い前編から、一体どんな酷い展開が
待ち構えてるのかと、ありとあらゆる想像を巡らせて
読み始めた後編ですが……。

いやぁ……予想の斜め上いきすぎてたわ。

酷いなんてもんじゃなく、痛い。
アイタッ、アイタタタッ!
って感じで身も心も痛い。
楠田が気の毒すぎて、前編でちょっと可愛いなと思った
秋沢、じゃないアホ沢、楠田じゃないけどこいつ本当に
死ねばいいのに、とまで思いました。
普通のBLだと強姦輪姦された受って、怖がりつつも攻に
お清めエッチされてめでたしめでたしなんですが、そこは
やっぱり木原さんでした。
そうよね、これが普通の反応なのよね、と妙に納得。
とにかくこのアホ沢、いや、クズ沢か……?
歴代クズ攻の中でもぶっとんでます。
谷脇、廣末を越す私の中でのクズ攻認定トップの勢い。
話が通じないを通り越して、まるで人形に話しかけてる
気分になるくらいに、この男には自分が言ってることが
通じないのです。
そんな話が通じない、理解してもらえない、感情の振り幅が
極端すぎて、言葉を間違えたら殺される……という男から、
楠田はついに逃げ出してからの書き下ろし。

ここまではアホ沢ざまぁ、と胸がすかーっとしてたんですが、
視点がアホ沢になったと同時に……な、なんでしょう。
なんでしょう、この胸苦しさ。
今度はアホなのにアホ沢が可哀想なキモチになって
しまいまして。
完全にほだされてしまった私は、楠田の気持ちがわかって
しまいました……。
怖くて、怖くて、どうしようもないトラウマまで抱えても
なお、勇気を振り絞った楠田に涙が。
そして楠田の前に頭を垂れたアホ沢の、少しだけ変わった
姿、そのうなじに涙を落とした楠田の姿、ラストのページが
あまりにも美しくて、読み終わって余韻に浸りながら
表紙を見ると涙腺が……。

あとがきで木原さんが前編は甘口で後編は辛口とか言って
ましたが、そんな甘いもんじゃないです。
確かに前編は木原さんにしてはカレーの王子さまかって
くらい甘いですよ。
でもでも後編は、例えるなら本格インドカレー店の辛さ
レベル100倍(激辛)だと思うんですよ。
そのくらい痛苦しく見てられません。
でも見てしまうこの不思議。見ずにいられません。


このふたりが、というか秋沢がどんな風に少しずつ変わって
いくのか、是非とも続編を希望したい。
同人誌の方はまだ積んでますが、これから読みたいと
思います。
久しぶりに大満足したお話でした。
インターバル走を限界まで走らされた気分。

執着攻、ヤンデレはBLでは1ジャンルとして確立されてて、
それを得意とする作家さんもいますが、このアホ沢は
それを遥か凌駕するレベルのヤンデレ執着です。
突き抜けてすぎてて背筋が寒くなります。
好みが凄く分かれる話だとは思いますが、私はCOLD
シリーズ全部本棚に並べてにやにやコースでした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 木原音瀬
感想投稿日 : 2014年9月11日
読了日 : 2014年9月11日
本棚登録日 : 2014年9月11日

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