落花流水 (SHY NOVELS 246)

著者 :
  • 大洋図書 (2010年4月27日発売)
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本棚登録 : 184
感想 : 18
4

凪良さんのヤクザものです。
不幸な少年期から自分を明るく照らしてくれた受に恋い焦がれ、
攻は思いあまって襲いかかったら玉砕。
受にこっぴどく振られた挙げ句に家庭内もぐちゃぐちゃ。
高校中退してからというものの、絵に描いたような転落人生
まっしぐらという、のっけから重たい話です。

毎日を怠惰に生きていて、職を転々とした末に適当に
ピンサロで働いていた攻の元に、ある日、女の子が
借金のかたにピンサロに売り飛ばされそうになります。
そこに女の子を助けようと単身乗り込んできた受と
偶然再会し、事情を聴けばその女の子は婚約者の妹で、
義兄になる自分としては責任がある、と。
結局受のことを忘れられなかった攻が、受には内緒で
その借金を肩代わりするところから、ずぶずぶと闇の
世界の深みにはまっていく……という、何とも何とも
ずっしり重たい展開。
なんといってもこの攻が男らしくって優しい。
受のためになら死ねる、を地でいってます。

作中、互いの思いを確かめ合っても、攻はもうのっぴき
ならないところまで転落していて、刃傷沙汰にまで発展。
責任を感じた受が、公務員というお堅い立場でありながら、
全てを投げ出して攻と逃避行というトンデモ展開まっしぐら!
とまぁ、凪良節全開です。

微妙にいい人ヤクザな九条さんのスピンオフの方が
読みたくて仕方がないのですが、まだ出ていない模様。
というか、利害関係で婚約していたとはいえ、婚約者の
妹がそもそもの泥沼の原因であるにも関わらず、当の
本人と婚約者は、受がヤクザのいざこざに巻き込まれて
新聞沙汰になった途端に結婚白紙ですと。
なんといいますか……その二人こそ沈めた方がいいんじゃない?
という何とも腹立たしい姉妹でした。
最後のSSがなければ確かに不安なラストでしたが、
このSS読んだら、猛烈に九条さんのお話が読みたくて
たまらなくなりました。
レーターさんが苦手なので、その際には別の方だと嬉しい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 凪良ゆう
感想投稿日 : 2014年6月26日
読了日 : 2014年6月26日
本棚登録日 : 2014年6月26日

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