選択の科学

  • 文藝春秋 (2010年11月12日発売)
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今更読んだ。これ、面白いね。
選ぶ行為をめぐる複雑で豊饒な世界。確認バイアスやフレーミング、関連性、双曲割引など行動経済学や心理学の知見や実証研究を参考にしつつ、選択をめぐる複雑で豊穣な世界を考察しまとめた良い本。

些細なことでも選ぶという行為が日々の充足感や健康に良い影響を及ぼすという選択の力を証明する研究結果を紹介しつつ、後半で過剰な選択肢が人に賢明な判断を必ずしも促すわけでなく、むしろ後々まで続く後悔や心の傷につながる選択の代償が伴うことがあるという調査結果も紹介している。


ここに‘選択礼賛’に安易に陥ることなく実証研究を参照しつつ「選択」という行為をめぐる複雑さを浮き彫りにしているところがこの本の醍醐味。


なにより面白いと思ったのが第6講の多すぎる選択肢について。
有名なジャム実験。24種類のジャムと6種類のジャムを並べたときどちらがよく売れるか?選択肢が多いほうがより良いものを選べる、と思うが実際は違う。売り上げは品揃えが少ない方が多かった。多すぎる選択肢は必ずしも利益にならない。これは行動経済学の本なんか読むと紹介されてるお話。


選ぶという行為は創造的な活動でそれ自体が芸術だとい著者はいう。原書のタイトルは「The art of Choosing」。Artという単語を使っているのが印象深い。選択という振る舞いがもつ創造的な側面を強調したものだと思いたい。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 経済
感想投稿日 : 2013年2月23日
本棚登録日 : 2012年9月16日

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