ウイルスVS人類 (文春新書 1270)

  • 文藝春秋 (2020年6月19日発売)
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昨年春にNHKのBS1で放送された番組の内容をまとめたもの。本人に症状が現れないうちに他人を感染させてしまうとは、厄介な病気だと改めて思った。感染者の多くが重症化する重症急性呼吸器症候群(SARS)とは違って、封じ込めが困難なのはもっともだ。天然痘が撲滅できたのは、人だけに感染し、変異しにくいDNAウイルスであることに加えて、ワクチンの接種が簡単で、判子のようにぺたぺた押すだけだったからだそうだ。ワクチンができたと思ったら、氷点下75度以下で保存しなければならないなんて、どこまでも厄介なウイルスだ。幸い、RNAウイルスにしては珍しくゲノムを修復する酵素を持っているので、インフルエンザウイルスほどには変異しないらしい。それでも変異ウイルスが見つかっているから、安心はできないが。感染が拡大したら医療崩壊に至らないように規制を強化し、ある程度落ち着いたら経済が壊滅に至らないように規制を緩め、これを繰り返しながら、多くの人がワクチンの接種が受けられるようになるまで長期戦を持ちこたえるしかなさそうだ。2020年6月20日第1刷発行。定価(本体800円+税)。2020年12月6日付け読売新聞書評欄。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: その他
感想投稿日 : 2021年1月17日
読了日 : 2021年1月15日
本棚登録日 : 2021年1月17日

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