愚の骨頂 続・うさぎとマツコの往復書簡

  • 毎日新聞社 (2011年11月8日発売)
3.37
  • (8)
  • (37)
  • (38)
  • (13)
  • (2)
本棚登録 : 320
感想 : 34
4

 あはは。泣いちゃった。この本で。
 マツコさんのお母さんの

 「今日の五時の生放送を見ます」
 の一言に、大笑いしたあと、孤独じゃないんだって号泣したっていう件で。


 同じじゃないし、マツコさんの状況とか気持ちとか計り知れないものがあるけれど、

 自分の中にもある、頭でっかちで、醜くて、それでも自分が可愛くてならない醜悪なモンスターみたいな自意識に苛まれながら、自由を叫んでる愚かな自分を重ねてしまいました。


 先日学校のカウンセリングの先生の講義を聞く機会があり、
 異性に執着を求める傾向の中に、父親との関係によるものを上げていた。

 父性が脆弱な家庭環境の女の子は、男性関係に問題を抱える傾向にある。

 うん、なんかそーいうのは聞いたことあった。うちはお父さんが家庭とか子供に全然興味を示さなかった人だった。今思えば、父親はとても愛情に飢えた人だった。子どもとして愛情をかけて欲しかった気持ちは否定出来ない。だからって、愛情なんて家庭のものだけじゃ足りない。子供の存在で、自分を犠牲にして育ててきてくれた親を、愛情をかけてくれなかったなんて責められるわけがない。



 だから、いつだったか、脆弱な存在の影響を、私は知らないふりをして生きてくことに決めたことを、なんとなく覚えている。


 わたしは、人と結婚して生きていく選択肢を、選べない人間だと思っている。
 自分が一番なのだ。なんどもこのマツコさんかうさぎさんの本を読み終わったあとに書いていることなんだけど。

 本当はとても依存心の強い人間だということを、自分も良く分かっている。

 でも、自分が一番の癖に、誰かに頼ろうなんて虫の良い話は、他人になんて求められない。

 一人で、生きて行くのだと、いつの頃からか思い始めてた。

 今私には、恋人がいる。
 わたしのわがままさをすべて受け入れてくれて、私を待っていてくれる人がいる。

 私は、この人が幸せになってくれるんだったら、なんだってしようという気持ちになる、世界で一番大切に思っている「他人」だと、今のところ思っている。


 でもそれは、世界で一番自分が大切な私の自由が保証される限り、という条件付きなのだ。





 自分は一体何様なんだと、本当によく考える。
 この異常なまでの自意識って、一体なんなんだろう。
 
 自分以外で、とても大切に思っている人の幸せに感じることが、私と一緒にいてくれることだと、涙が出るくらいありがたい愛情(なんだろうかね。)の欲求をしてくれているのに、

 わたしは、自分が自由でいられないのだったら、
 その気持を足蹴にできるような人間なのだ。

 泣く権利もない。歯を食いしばってわたしは彼を拒絶するのだろう。

 大切に思う人の望むことをあげられないジレンマ。


 それでも私は、孤独を選ぼうとしている。


 いつしかそれを、後悔する日が来るんだろうか。


 後悔してでも、わたしは、自分の自由が欲しいのだ。


 孤独が怖くないのは、今彼がそばにいるっていう現実を差し引いてなお。


 私はきっと、狂っている。
 恵まれすぎた環境で孤独を望む、甘ったれた悲劇のヒロインぶりたいどーしようもない愚か者だと思う。

 だから、
 勝手に、

 本当に勝手に、

 

 孤独じゃないのだと、大笑いして泣いたマツコさんに、

 あこがれと共感めいたものを持ったんだと思った。

 

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ:
感想投稿日 : 2011年11月17日
読了日 : 2011年11月17日
本棚登録日 : 2011年11月17日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする