マルちゃんブランドの東洋水産の創業者、森和夫氏の創業物語(ドキュメンタリーではなく、実名小説と言うことらしい)。大手取引先で融資を受けていた第一物産(三井物産がモデル)との経営権を巡る闘い、そして日華食品(日清食品がモデル)との泥沼の米国特許紛争など次々に起こる試練を、持ち前のバイタリティーと誠実でぶれない経営で乗りきった森氏の人間の大きさにただただ感服。
それにしても、第一物産の東洋水産に対する扱いの酷さは度を越している。当時はこういうことが当たり前のようにまかり通っていたのだろうか。この傲慢さは商社に染み付いた体質? それとも今でもある大企業の中小企業いじめの典型?
日華食品創業者の安東福一社長(安藤百福社長がモデル)が、森氏とは対照的な経営者(モラルに欠け、何でもありの強引な経営者)として描かれているが、実際のところどうなんだろう。
小説の中で、日華カラー移ってきた平野に「創業社長だから仕方がないとも言えますが、カマドの灰まで自分のもの、という意識が強過ぎます。」と言わせ、森社長には「安東氏は企業のエゴイスムに徹したすごい経営者とは言えるんだろうねえ。僕とは、フィロソフィが違うと言いたいけど」と言わせている。
続編があるようなので、続けて読みたい。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
経済小説
- 感想投稿日 : 2018年10月17日
- 読了日 : 2018年10月16日
- 本棚登録日 : 2018年8月24日
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