反・幸福論 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社 (2012年1月17日発売)
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本書、前半では、「無縁社会」現象を、戦後日本が目指した「近代化=個人の自由の拡大」の当然の帰結と指摘する等、現代社会の鬱積感というか喪失感の根本(ニヒリズム)を論じている。また、後半では、震災を機に、現代人がすっかり忘れてしまった「日本の霊性」(何か絶対的なものにすがるほかないという感覚)について指摘し(第七章)、民主党政権を「既得権益」や「守旧勢力」などの「権力を批判することによって自らが権力をもつ」屈折した権力欲の集団とバッサリ切り捨てている(第九章)。いずれも成る程と思える鋭い指摘だが、特に、民主政治の問題の本質が、責任を取らない国民のルサンティマンに政治が大きく振り回されることにあると指摘している点には説得力がある。なるほどその通りだと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 教養
感想投稿日 : 2015年7月13日
読了日 : 2015年7月14日
本棚登録日 : 2015年6月25日

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