老人と宇宙(そら) (ハヤカワ文庫 SF ス 17-1)

  • 早川書房 (2007年2月28日発売)
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本棚登録 : 668
感想 : 76
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本作、ヨボヨボ老人が足手まといになりながらも人生の知恵で宇宙での戦闘を生き延びるコミカルな作品なんだろうなあ、と想像しながら読み始めたのだが、意外にもかなりハードな内容だった。

75歳になってコロニー防衛軍に志願した主人公ジョン・ペリーは、改造を施された若く強靭な肉体(皮膚は緑色)意識を転送され、バリバリの戦闘員として死と隣り合わせの激しい戦闘に駆り出されていく。何と、入隊から10年のうちにその4分の3は命を落とすというタフさ(まあ、75年生きてきたんだから、この先長く生きられなくても受け入れられるよね、という割り切りの良さ!)。実際、同期の仲間は次々と死んでいく。

コロニー建設を巡って様々なエイリアン達とあちこちの星系で激しい競争を繰り広げるコロニー防衛軍は、常に未知のエイリアンとの紛争リスクに晒されているのだ。

本作、宇宙空間でのハードな戦闘シーンも読み応えがあったが、やはり、肉体の衰えた老人達が若く美しい肉体を得てはしゃぐ姿や、人生経験豊富な老人達が新兵になるというギャップが面白かった。

巻末解説の、「宇宙の戦士」や「終わりなき戦い」(未読)、「エンダーのゲーム」につらなる正統派戦争SF、という評価に納得。シリーズもののようなので、続きも読んでみたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: SF・ファンタジー
感想投稿日 : 2020年9月29日
読了日 : 2020年9月29日
本棚登録日 : 2020年9月27日

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