怪獣保護協会

  • 早川書房 (2023年8月2日発売)
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本棚登録 : 223
感想 : 21
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コロナ禍でフードデリバリー・サービス会社を馘なったジェイミーは、知り合いに勧誘され、大型動物を保護する謎の団体(KPS)の職員となった。ジェイミーの役目は力仕事(「わたしは物を持ちあげる」)。訳も分からずグリーンランドに連れていかれたジェイミーは、そこで信じられないほど大型の怪獣が跋扈する並行地球へ足を踏み入れたのだった。

核爆発が起こると並行宇宙の間の障壁が薄くなり、怪獣が穴を開けて人間世界に入り込むという。その最初の怪獣が水爆実験後に現れたゴジラだった。怪獣たちが人間世界にやってこないよう怪獣たちを監視しつつ、その生態を研究するのが怪獣保護協会の役目だ。怪獣たちは体中に生物原子炉を持ち、核エネルギーで動いている。 戦いで傷つくと時に核爆発を起こす。そして人間世界との間の障壁が薄くなる。おお怖!

本作、日本の怪獣映画へのオマージュにもなってる。映画「ゴジラ」のプロデューサー名からとったタナカ基地に同映画の監督名をとったホンダ基地などなど。

本作、コロナ禍で長篇執筆に行き詰まった著者が作品を投げ出したとたん、「『怪獣保護協会』の全プロットとコンセプトが、頭の中にいっぺんに落下してき」て一気に書き上げたものだという。コロナ禍の長い暗闇から脱出するために必要な明るいポップソングだったのだと(著者あとがき)。コロナの鬱憤を吹き飛ばすかのような、ウイットにとんだ痛快なSF作品だった!

"ウンチフルーツ" には笑えたな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: SF・ファンタジー
感想投稿日 : 2023年9月28日
読了日 : 2023年9月27日
本棚登録日 : 2023年9月24日

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