下巻は、何と言ってもローマ教皇との謁見シーンがクライマックス。
グレゴリウス十三世が涙ぐみながら発した労いの言葉、「そなたたちの来訪を、どれほどマチワビタだろうか天正……よくぞ……よくぞ来てくれた……」で、使節団一行の長旅の苦労が全て報われた。そして、「洛中洛外図屏風」も教皇の心を揺さぶり、宗達も面目躍如。よかったよかった。
残念ながら、その後話は失速していく。宗達とカラヴァッジョがダ・ヴィンチの「最後の晩餐」の絵の下で出会うエピソード、取って付けたようでちょっとな(このエピソード、必要だったのかな)。カラヴァッジョの名を宗達がつけたというのも、もはややり過ぎ感が…。
一行がジェノヴァから日本に向けて出航するところまでで作品が終わっちゃってるのも不満。帰国後の宗達の成長した姿、少なくとも「風神雷神図屏風」の創作シーンは描いて欲しかったし、使節団4人のその後の数奇な運命についてももう少し言及して欲しかったな(我が儘な読者ですみません)。
こうなったら、柳広司の「風神雷神」も読むっきゃないな!
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
時代小説
- 感想投稿日 : 2022年2月4日
- 読了日 : 2022年2月3日
- 本棚登録日 : 2022年2月1日
みんなの感想をみる