交渉はしっかりしたトレーニングを積めば、誰でも必ず上達する。本書は合理的な交渉理論とその実践方法を図解した入門書である。
ナレッジとしての交渉戦術はかなり充実の内容で、二分法の対処法から「決裂寸前には休憩を入れろ!」といった具体的なものまで極めて実践的な内容となっている。
ただ、本書で取り扱われているのが、交渉当事者の立場が比較的拮抗している場合にのみ効果的な戦術であることが気になる。交渉当事者の立場が大きく異なる場合、たとえば大企業の経営者と派遣労働者の間には交渉力において全く等価ではない現実があり、そんな時には本書の知見は役に立たないかもしれない。しかし、交渉が是非とも必要な状況というのはかえって当事者間の地位の格差が大きい時なのではないか。そんな意味で限界も見えるが、基本的に交渉についての技術を知ることが出来る好著だと思う。
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- 感想投稿日 : 2013年10月22日
- 読了日 : 2013年10月15日
- 本棚登録日 : 2013年10月12日
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