アフター・ビットコイン: 仮想通貨とブロックチェーンの次なる覇者

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  • 新潮社 (2017年10月27日発売)
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決済の世界の権威と言っていい中島さんの本。ビジネス書で著者名で買ったのは初めてかも。
期待を裏切らない丁寧で詳細かつわかりやすい記述。決して権威的でない書き方。見習いたい。
おかげでビットコインの振り返りとブロックチェーンの基礎がするっと頭に入る。踏み込んでより実務に活かせるような知識を得たい。
今となっては仮想通貨は予想通りだったので忘れるとして、ブロックチェーンに関する詳細な説明が大変ありがたい。後半のどのように実現するかは今後の議論として、技術自体については長期的に主流になっていくと感じた。
民間銀行が流通を担うのが現実的かと読んだが、その場合民間銀行の役割としてクローズド型としてのマイニングが求められるため、ネットワーク参加の障壁は相応に高いと思われる。この点のシステム投資をどうやって実現していくか、もしくは合併を更に加速して規模のメリットを活かすのか。
また政策効果としてマイナス金利を実行しやすくなる点も挙げられているが、これはそもそも資金需要の喚起との政策パッケージにしなければ徒らに銀行の収益悪化(無理な貸出による不良債権の増加、tierの低下)を招くだけだと思う。本論ではないが注意したい。
リップルについてはコンソーシアムで実証研究していくとはいえ一民間企業に仕組みを任せることについての不安を感じる。資金決済の課題について言及されているがこの点は詳細に調べたい。とは言え顧客が食いつきやすい外送に焦点を当てて改革するのは議論が早くなるので良いこと。
既存の仕組みの改善としてSWIFT GPIについても後書きで触れられているが、こちらは送金のトラックは遅々として進まず手数料引き下げと透明化は進んでいるように見えない。これをブロックチェーンで技術主導で変えられれば大きなブレイクスルーになるのだろう。外為課やコルレス部署は業務が大きく変わるわけで、インパクトは計り知れないが、デジタル化は歴史的に見ても不可避であり、是非関わっていきたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2020年7月21日
読了日 : 2020年7月23日
本棚登録日 : 2020年7月21日

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