地球の履歴書 (新潮選書)

著者 :
  • 新潮社 (2015年9月25日発売)
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本棚登録 : 416
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地球が誕生してから今日までの46憶年におよぶ地球の歴史を解説する自然科学書というのは数多く出版されています。ただ、私自身もそうですが、地学に興味がないとなかなか手に取ってまで読んでみようという気持ちになれないケースも多いのではないか、と思います。
本書は人類が地球の生い立ちを理解するプロセスを、いろいろなサイドストーリーを交えて解説しているので、読者を飽きさせません。恐竜を絶滅させた隕石の衝突だったり、地球を寒冷化させた巨大噴火、氷期-間氷期にまたがる100m以上に及ぶ海面高度の変動、南極点発到達までの探検家たちのドラマ、アフリカのニオス湖で発生した謎の住民大量死亡事件など…。また2015年初版ということで最近のトピックスも盛り込まれ、古さも感じさせません。
そして本書を推す何よりの理由は、本書が日本人の著者によって書かれた本なので、文章が大変読みやすいという点につきます。海外の自然科学系の読み物は、どうしても訳者の技量によって、不自然な日本語と向き合わざるを得ない事が多いです。その点、本書は「チェンジングブルー(岩波現代文庫)」で講談社科学出版賞を受賞した経歴のある著者だけに、一般向けに読みやすいだけではなく、ちょっと文学的な匂いのする文章で書かれているので、教科書的で無機的な解説書というのではなく、”読み物”として十分に読み応えがあります。
中学生、高校生なんかに読んでもらえたら、自然科学、特に地学系への興味が掻き立てられる人が出てくるんではないかと思いました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 自然科学
感想投稿日 : 2023年11月16日
読了日 : 2023年11月16日
本棚登録日 : 2023年11月16日

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