終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか? (4) (角川スニーカー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店 (2015年12月26日発売)
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感想 : 15
3

言葉の見つからない結末……
これまでの物語の終わりでも、始まりでもあり、救いでもあり、破滅でもある一冊。この世界観だからこその、優しさと残酷さと絶望が押し寄せてきます。

前巻で死に瀕したヴィレムとネフレン。二人が目を覚ますとそこは、すでに滅びてしまっているはずの500年近く前の地上世界が広がり、さらにヴィレムの家族や仲間たちも、かつてのように生きていた。
何者かからの精神攻撃により、幻を見せられている、と考えたヴィレムは懐かしさに囚われそうになりながらも、幻の世界を脱出する手がかりを探り始める。

1巻から3巻で描かれた終末の世界観だけど、なぜ世界はそういうふうになってしまったのか、という具体的なところが、この4巻で明らかになっていきます。世界観の作り込みは、1~3巻で相当なされているのが伝わってきたので、そのあたりがスッキリしたのが良かったです。

戦いに出る者と、待つことしか出来ない者。それぞれの悲しさと相手を想う気持ちが、切なく痛いシリーズだったけど、今回も切なく痛かった……。たとえ幻と分かっていても、目の前の家族の危機には、動いてしまうヴィレム。そして500年以上、ヴィレムを待ち続けたアルマリア。
二人が真の再会を果たしたときに、待つ結末は、あまりにもあまりにもでした……。心のどこかで、「これは時間改変になって、世界の行方は変わるんじゃないか」と思ったりもしたのだけど、やっぱりそんな甘くはなかった……

次巻で第一部は完結だそう。ストレートなハッピーエンドはおそらくないだろうけど、どう落としどころをつけるのか。とても気になるところです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: SF・ファンタジー
感想投稿日 : 2020年9月27日
読了日 : 2020年9月24日
本棚登録日 : 2020年9月24日

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