13編収録の短編集。
有名な「たんぽぽ娘」はヤングらしいロマンチックさあふれる作品。未来から来た少女に恋をした妻を持つ男の恋模様を描いた短編で、結末の鮮やかさにはため息が漏れます。
そのほかでは「河を下る旅」もおススメ!二人の男女が出会いによって希望を持ち、再生していく姿、そしてこちらもラストに息が漏れます。
「エミリーと不滅の詩人たち」は詩人のアンドロイドの管理をする学芸員の話。詩人たちのアンドロイドでは採算が取れない、ということでアンドロイドは破棄され、新型自動車の展示スペースにされそうになり…
誰も不幸せにならないオチのつけ方が見事なだけでなく、未来の技術への希望を文学で表現するSF作家だからこそ書けた短編であり、そしてその二つをどちらも肯定する結末を書けたのだと思います。
「11世紀エネルギー補給ステーションのロマンス」は読み始めたときはハードSFかと思いきや、読み終えるころにはおとぎ話に様変わりしているという、ある意味ビックリの短編。こんな話を書けるのはやっぱりヤングだけだと思います。
ただ一方で設定が複雑な短編もいくつかあり、そうした作品は世界観がいまひとつ理解しきれず、結局後半に収録されている短編の多くがななめ読みになってしまったのが残念なところ。翻訳ものもそこそこ慣れてきたつもりだったのですが、まだまだ足りないのかなあ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
SF・ファンタジー
- 感想投稿日 : 2015年3月27日
- 読了日 : 2015年3月25日
- 本棚登録日 : 2015年3月18日
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