メルヘンの深層心理: 登場人物からのアプローチ (ちくまプリマーブックス 102)

著者 :
  • 筑摩書房 (1996年7月1日発売)
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<目次>
序章 メルヘン・ワールドへの道案内
 1 メルヘンの成り立ち
 2 ストーリー構造の特徴
 3 住人たちの特徴
 4 無意識を探る理論
第1章 華麗に活躍する若者たち
 1 お姫さま
 2 王子さま
 3 若者たち
第2章 人生を案内する大人たち
 1 王さま
 2 お父さん
 3 お母さん
 4 おじいさん
第3章 主人公を苦しめる悪役たち
 1 継母
 2 兄たち・姉たち
 3 盗人
第4章 不思議な力の持ち主たち
 1 魔女
 2 山姥
 3 妖精や仙女
 4 鬼や大男
 5 小人
第5章 世間の厄介者たち
 1 怠け者
 2 いたずら者や詐欺師
 3 おろか者
あとがき

<メモ>
ストーリー構造の特徴
一、ストーリーが単純で短く、全体が一つのモチーフで成り立っている
二、ストーリーの展開や言葉の使い方に、反復のパターンが多用されている
三、メルヘンでは現実と非現実の協会が曖昧で、両者がいとも簡単に入れ替わる

住人たちの特徴
一、動物や植物や道具までもが擬人化されて言葉をしゃべり、すべての存在が人間と同じ地平に登場する
二、住人たちにはほとんど名前がなく、個性が問題にされていない
三、住人たちが、それぞれ象徴的な意味を持っている
四、住人たちが善人と悪人、美女と野獣というようなコントラストで配置されている

無意識を探る理論=ユングの分析心理学
集合的無意識
 メルヘンが民衆の口承によって誕生した物語
 人類に共通して、あらゆる民族に認められる原始的心性のこと
基本的なモチーフ[元型]:
 ペルソナ
 影
 アニムス(心の内なる男性像)
 アニマ(心の内なる女性像)
 自己
 太母(グレートマザー)
 老賢者(オールドワイズマン)
 トリックスター
自己実現プロセス

西洋と日本の差異
一人前の証
 西洋:親から離れて独立した別個の結び付き(ユニット)を築くこと
 日本:力をつけて親のもとにもどり、親を敬い支えていくこと
おじいさんのタイプ
 西洋:人生の案内役
 日本:+隣の爺タイプ、父親代理タイプ

若者が成功する秘訣
 敵を倒す腕力や勇敢さ、知恵や財力より、
 他者への思いやりややさしさ、素直さや謙虚さといった心のあり方

太母の二面性:肯定的な面と否定的な面
 現実の社会では、否定的な側面は忌み嫌われ、肯定的な側面だけを強調する
 否定的な側面を「魔女」に投影して語り、客体視する

1月12日読了。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2018年11月5日
読了日 : 2012年1月12日
本棚登録日 : 2018年11月5日

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